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速やかな放射能除染、住民被害の全面賠償、
原発からの撤退とエネルギー政策の転換を求める
―全国の医師・歯科医師は訴えるー

2011年10月15〜16日
全国保険医団体連合会・公害視察会参加者一同

 野田首相は、9月22日に国連本部で開かれた原子力安全首脳級会合で、今後の継続した原発利用と原発輸出の方針を表明した。福島第一原発の過酷事故が現在も依然として予断を許さず、事故原因についての調査と解明もこれからという時期に、原発依存の姿勢を示すことは、撤退を求める多数の世論に反するものである。
同時に重要なことは、福島第一原発の事故を一刻も早く収束させることと、放射能汚染から住民の健康を守り、住み慣れた地域に帰りたいという住民の要求に応えることである。
とりわけ、子どもの放射線被曝については、核戦争防止国際医師会議の菅前首相への勧告や、欧州放射線リスク委員会などのより厳しい基準による対応が必要である。また、原発労働者の安全確保と健康管理も厳格になされるべきである。
そのためにも、汚染実態の正確な公表、速やかな除染作業や住民の健康管理、東京電力による全面的な賠償が求められている。
福島第一原発の重大な事故は、地域社会を壊滅させ復興の目途すら立てることができないという原発事故の恐ろしさを如実に示し、福島第一原発から範囲300qを超えた放射能汚染、外国からの観光客のキャンセルが全国に及ぶなど、深刻な影響を与えている。
政府の原子力委員会が募集した国民の意見では、原発を「ただちに廃止」(67%)、「段階的に廃止」(31%)を合わせて、98%の人が原発廃止を求めている。大江健三郎氏らの呼びかけで9月19日に東京・明治公園で開かれた、「さようなら原発」集会には6万人が参加するなど、原発からの撤退を求める世論も急速に高まっている。
10月15日、16日に福島市と飯舘村で実施した本会の公害視察会では、「までいライフ」づくりを進めている菅野典雄飯舘村村長が除染の緊急性と村民の早期帰村が復興の原点であると訴えた。私たちは、住民のいのちと健康を守る医師、歯科医師の団体として、菅野村長をはじめ福島第一原発事故に遭った自治体の切実な要求を支持するとともに、下記事項の実現を強く求める。

1.放射能汚染の実態を正確に公表し、除染作業を速やかに行うこと。
2.原発による住民の被害については、東京電力の全面賠償で速やかに実施させること。
3.原発の新規計画を中止し、既存の原発は計画的に廃炉にすること。
4.危険なプルトニウム利用の高速増殖炉「もんじゅ」及び核燃料再処理工場を運転せず、廃棄すること。
5.原発からの撤退を決断し、日本のエネルギー政策の転換を図ること。

以上