内閣総理大臣 野田 佳彦 殿
経済産業大臣 枝野 幸男 殿
厚生労働大臣 小宮山洋子 殿
民主党政調会長 前原 誠司 殿
同 経済連携PT座長 鉢呂 吉雄 殿
同 経済連携PT顧問 山田 正彦 殿
国会議員 各位
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
TPP交渉参加を決定しないよう求める要請書
貴職におかれましては連日、国政の重責を担われていますことに敬意を表します。
本会は、全国の保険医である医師・歯科医師10万3千人で構成し、国民医療の向上と、保険医の生活と権利を守るために活動している団体です。
さて、政府は、11月上旬にもTPP交渉参加を決定しようとしています。しかし、10月17日に公表された政府資料では、「公的医療保険制度など国が実施する金融サービスの提供は、議論の対象となっていない模様」と、極めてあいまいな説明が行われている一方、「米豪・米韓FTAのように、医薬品分野に関する規定が置かれる可能性はある」ことを認めています。
すでに交渉を終えた米韓のFTAでは、医薬品の独占的特許が認められ、相手国の医薬品政策に対する異議申し立ても可能となりました。また、米豪FTAでも、医薬品に関する附属書があり、新薬の薬価引き上げにつながる規定が盛り込まれました。
医薬品がTPPの対象になるのであれば、国民皆保険制度を持つ日本でも、医薬品を含む公的医療保険制度が対象となることは明らかです。
TPP交渉参加国の多くは民間医療保険と競合するような公的医療保険制度はありません。国民皆保険制度を持つ日本が交渉参加するならば、民間医療保険と競合するとの理由で、公的医療保険制度がTPP交渉の議論の対象となるのは必然です。
特定地域を経済圏として囲い込み、非関税障壁を原則撤廃するTPPに、仮に日本が参加すれば、日米2カ国のGDPが参加国全体の90%を占め、事実上、日米間のFTAが結ばれることになります。
わが国の社会・経済構造を激変させかねない問題であり、国民生活のあらゆる分野に影響が及びます。国民への十分な説明もないまま、TPP交渉への拙速な参加を決定しないよう、ご尽力いただきますよう要請します。
以上