ホーム

 

地域医療崩壊からの復旧・復興のために、大幅な

診療報酬引き上げを求める

2011年12月16日
全国保険医団体連合会
会長   住江 憲勇


2012年度の診療報酬改定率をめぐる政務折衝が大詰めを迎えている。
報道によれば、財務省が2.32%程度の引き下げ(診療報酬本体約▲1%、薬価▲1.23%、医療材料▲0.09%)を厚生労働省に求めたとされているが、実際には薬価改定とは別に長期収載医薬品の10%引き下げ(▲0.59%)の実施も計画されており、これを加えれば実質改定率はネットで、マイナス2.91%にもなってしまう。

小泉「構造改革」以来、2002年,2004年,2006年,2008年の4回連続のマイナス改定によって、地域医療は瀕死の重傷に陥っている。
2010年改定では、0.19%の診療報酬引き上げによって一部の大病院にはカンフル剤としての効果があったものの、医科診療所の再診料引き下げ等によって、多くの医科・歯科診療所や有床診療所、中小病院にとっては実質的に5回連続のマイナス改定となった。
11月2日発表の中医協医療経済実態調査でも、個人立を含む医科診療所全体の損益差額は、前回調査に比べて10.3万円減少。率にして8%も減っており、損益率も12.5%から10.8%になっている。また、個人立の歯科診療所の損益差額も、前回調査の120.2万円に比べて20.7万円も減少しており、率にして17.2%も減っている。医療経済実態調査は、極めて不十分な調査だが、その結果からも、すべての医科診療所と歯科診療所の医業経営の指標である損益差額が減額し、損益率が悪化している窮状が浮き彫りとなっている。

こうした中で、民主党の「歯科医療議員連盟」は、12月8日に『国民生活を支える歯科医療を安定的に提供するためには、歯科医療機関の経営健全化が不可欠』として、薬価引き下げ分も含めたネットでのプラス改定の実施を求める要望書を決定した。
また、民主党「適切な医療費を考える議員連盟」も12月14日の総会で、民主党が2009年衆院選と10年参院選のマニュフェストで、総医療費の対GDP比をOECD平均まで引き上げる姿勢を示したことや診療報酬引き上げの方針を明記したことを踏まえ、12年度改定を「『医療再生』か『医療崩壊加速』かの大事なターニングポイント」と指摘し、ネットで3%以上の引き上げを求める決議を採択した。
東日本大震災によって、東北地方ではさらに地域医療の崩壊が進んでいるが、東北以外の地域でも地域医療の崩壊がまだまだ進んでいる。
地域医療崩壊からの復旧・復興を図るためには、2012年診療報酬改定において地域医療の担い手である医科・歯科診療所、有床診療所、中小病院に対する診療報酬を引き上げることが重要である。

全国保険医団体連合会は、民主党「歯科医療議員連盟」の要望書、「適切な医療費を考える議員連盟」の決議を高く評価するとともに、地域医療の復旧・復興のために、2012年診療報酬改定において大幅な診療報酬引き上げを行うよう求めるものである。


厚生労働大臣への要望書