2011年12月16日
水俣病救済申請の締め切りに反対する
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本 哲夫
政府は、水俣病特措法に基づく救済措置の申請を来年3月末で締め切ることを検討しているとの報道がある。今も潜在被害者が多数存在し、救済申請も継続している現状で申請を打ち切るならば、水俣病の救済どころか患者切り捨てにつながることは明白であり、到底容認できるものではない。
水俣病特措法による救済申請者は、2010年5月1日の受付開始から今年10月までに、熊本、鹿児島両県で5万人近くを数えている。10月の申請者は両県で600人を超え、救済を求める被害者は途絶えることがない。
熊本県民会議医師団が10月30日に実施した、芦北町山間部における40歳以上の全居住者の過半数の検診結果では、95%の受診者に水俣病の所見が確認されている。来年1〜2月には、熊本県や鹿児島県などで500人規模の水俣病集団検診も予定されており、新たな被害者が発見される可能性もある。
救済措置の申請については、未だ潜在被害者への周知が徹底されているとは言えず、救済措置の周知など水俣病問題の解決に向けた取り組みの強化こそ、今、政府が取り組むべき最大の課題である。水俣病特措法は、第三条の救済及び解決の原則で「あたう限りすべて救済」と規定しているように、救済を受けるべき人々がすべて救済されることを原則としている。
本会は、水俣病特措法による申請を2012年3月末で締め切ることに反対し、
特措法に基づく救済措置に関する周知徹底をはかることを求める。