関西電力・大飯原発の再稼動に反対する
2012年4月2日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本 哲夫
福井県おおい町にある関西電力・大飯原発3、4号機の再稼動に向けた動きが強まっている。大飯原発3、4号機については、原子力安全委員会が3月23日、原子力安全・保安院の1次評価を了承、政府は地元の同意を含め再稼動の時期を探っている。
現在も周辺住民に多大な苦難を強いている福島第一原発事故は、1年を経過した今も原因究明に至っておらず、事故を受けての新たな安全基準も示されていない。このような状況下での再稼動は到底認められるものではない。大飯原発がある若狭地区には多数の活断層が存在しており、新たな連動の可能性についても検討が必要である。
そもそも、ストレステストだけで原発の安全性を評価することは拙速と言わなければならない。事業者である電力会社が評価を行い、原子力安全・保安院がそれを評価し、原子力安全委員会の確認を求めるというストレステストの手順は、事故前の従来の原発の安全審査の方法と基本的に変わらない。枝野幸男経産相は、「ストレステストをやったから安全性が確認されるわけではない」と国会で答弁、原子力安全委員会の班目春樹委員長も「1次評価だけでは安全評価として不十分」との認識を示している。
世論調査(毎日新聞、3.31〜4/1実施)でも、大飯原発の再稼動に「反対」が62%で「賛成」の33%を大きく上回っている。政府の安全審査については8割以上が不十分と回答している。福島原発事故は、立地自治体のみならず周辺の広範な自治体にも深刻な影響を及ぼしており、各地で再稼動に慎重な対応を求める声が相次いでいる。福井県と隣接する滋賀県の県議会は、福島原発事故の原因究明がされていない中での再稼動に反対する意見書を全会一致で採択、3月に全基が停止した柏崎刈羽原発を抱える新潟県の泉田裕彦知事は、福島原発事故について独自の検証を表明している。
福島原発事故は、世界有数の地震国である日本に原発を集中立地することの危険性を改めて示した。政府は既存の原発を速やかに廃炉とし再稼動はやめるべきである。
以上