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●三大学病院長の「混合診療の導入」を求める要望書へ談話を出しました。
患者、国民の願いは混合診療の解禁ではなく、『保険証1枚』で安心してかかれる医療制度の実現
2004年11月25日
全国保険医団体連合会
政策部長 津田 光夫
東京・京都・大阪三大学の医学部付属病院長が「特定療養費制度の抜本的改革もしくは混合診療の導入」を求める要望書をまとめました。最先端の医療に携わる病院が、「国民皆保険制度のもとでは、あらゆる医療が健康保険によって給付されるのが理想」との原則的立場を表明したことは評価されるものと考えます。
同時に「要望書」は、「少なくとも特定機能病院」を対象に、「保険医療と自己負担を組み合わせた『高次医療制度』の新設」を提言しています。自己負担は患者の収入を考慮した制度とすることや、健保法等で認められた範囲の療養は現物給付とするなど、規制改革・民間開放推進会議の議論とは異なる点も見受けられます。しかし、「高次医療」の範囲が明確でなく拡大される余地を残しているなど、大枠においては、一定の水準以上の病院では、独自の判断で、包括的に全ての技術について混合診療が行えるという同会議の方針に沿った内容と指摘せざるを得ません。なお、「先端医療」についていえば、専門家による審査機関を設けた上で、保険診療とは切り離し学術・研究予算など公費の適用を検討すべきです。
また、「医療上必要であるが保険適用となっていない処置・手術等」の費用は自己負担とし、保険点数を準用した請求を可能とするとの提案は、患者、国民にとって必要な新たな治療法が、保険適用されないまま枠外に放置されることにつながる恐れがあります。その上で、患者の経済力に応じて自由料金か点数準拠の料金を請求するかという手法を示したものといえます。治験終了後の未承認薬の費用負担についても、基礎部分は保険給付し、不足分は「参考価格に基づき患者負担とする」としており、過去に浮上した「参照価格制」の復活につながることも危惧されます。
「要望書」は、「保険財源に限界がある以上」との前提から出発したために、結果的に、経済財政諮問会議や日本経団連が求めている方向に道を開く提言となっています。それは混合診療の解禁が、自己負担の軽減など患者が期待している現行制度の不備の改善を入り口にしながら、出口には、公的保険の範囲と質を限定、縮小し、民間保険の市場拡大をはかる「公的保険の守備範囲の抜本的な見直し」計画が位置づけられているからです。
患者、国民の願いは、医学・医療技術の進歩に対応し、『保険証1枚』」で安心してかかれる医療制度の実現です。この立場から、混合診療問題の本質的な議論とともに、あるべき「医療制度改革」について十分な議論を尽くすことが肝要です。高度な医療技術の発展に貢献してきた三大学病院が、「混合診療容認」の立場に拘泥することなく、その使命と役割にふさわしい立場を堅持されることを強く求めるものです。
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