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関西電力・大飯原発の再稼働に断固反対する

2012年6月5日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本 哲夫

 政府は、節電要請などの電力事情を口実に、関西電力・大飯原発3、4号機の再稼働を正式に決定しようとしている。世論調査でも国民の過半数が反対し、安全性や必要性についても多くの疑義が出されている段階で再稼働を決定することは、断じて容認できない。

政府は4月に大飯原発の再稼働について妥当と判断したが、安全性の評価基準は僅か3日で決定されたもので、福島第一原発重大事故の教訓を汲み取ったものとは到底言えない。必要性についても、関西電力管内で14.9%の電力不足が生じるとの見通しを示しているが、2010年夏の猛暑の数値を元に試算するなど、需要を過大に見積もっていると言わざるを得ない。福島原発事故から1年を経て、十分に電力供給の準備期間があったにもかかわらず、対応して来なかった関西電力の怠慢は許されない。

政府は、全原発が停止している現状を前提にして、電力需給を再検討すべきである。今回の決定は、民主党のめざす脱原発依存からも逸脱するものである。

原子力政策をめぐっては、核燃料サイクル政策の見直しを進めている原子力委員会の小委員会が、推進側だけで「勉強会」と称する秘密会議を20回以上も開くなど、電力業界と原子力委員会の癒着が発覚、福島第一原発事故後も、依然として新たな安全神話に基づく「原子力ムラ」の体質が続いていることを示した。政府は、この問題を深刻に受け止め、第三者委員会による検証など秘密会議の実態を明らかにすることが先決である。

事故時の緊急避難の対応もままならぬ現状と関西一帯が事故に巻き込まれることを考えると、住民の被害の甚大さと日本経済に与える打撃ははかり知れない。そもそも無害化、無毒化できない技術は「科学技術」としての評価に値しない。

政府が中長期的にであれ、再生可能エネルギー重視の方向に政策を転換する立場にたつのであれば、「エネルギー基本計画」に原発ゼロを盛り込むべきである。