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原子力基本法の改悪に抗議し、削除を求める

2012年7月6日
全国保険医団体連合会
非核・平和部長 永瀬 勉
公害環境対策部長 野本 哲夫

 6月20日に成立した原子力規制委員会設置法の付則に、原子力基本法の改定が盛り込まれ「安全保障」目的が追加されたことは、核の軍事利用につながる懸念など看過できない重大な問題を含んでいる。本会は、国民のいのちと健康を守る医師・歯科医師の団体として、今回の改定に抗議し、撤回を求める。

原子力基本法は第2条の基本方針で、原子力の研究や利用を平和目的に限ることを明記し、民主、自主、公開の原則を掲げている。同2条に、「我が国の安全保障に資する」との条項を追加したことは、この原子力平和利用3原則に抵触するものと指摘せざるを得ない。被爆国日本の体験をふまえ核兵器の開発は行わないという、戦後の決意を踏みにじる暴挙というほかはない。

しかも、追加された項目は当初の政府案にはなく、民主、自民、公明の修正協議で自民党の要求によって盛り込まれたものである。法案の国会提出から実質4日間での法案成立というスピード審議も含め、原子力についての基本方針を定める原子力基本法の改定について、十分な審議が尽くされたとは到底言えない。上位法である原子力基本法を、原子力規制委員会設置法の付則で改定するという方法についても問題がある。

原子力の憲法とも言われる原子力基本法の改定は、国民的な議論を尽くすべきであり、安全保障目的の追加項目は削除を求める。