2015年1月9日 給付減・負担増計画を撤回し、国民皆保険の充実を求める【談話】 全国保険医団体連合会 一、厚生労働省は1月9日、26日招集の通常国会に提出する医療保険制度改革法案の骨子案を社会保障審議会医療保険部会に提示した。 一、看過できないのは、患者の自己責任による混合診療を2016年度から実施することである。「患者申出療養(仮称)」を創設し、現行の先進医療と同等の有効性・安全性を確保するとされているが、先進医療の対象外の患者や、先進医療で実施されていない療養なども対象とされている。安全性・有効性が未確立なまま実施されている自由診療や、なんらかの理由で先進医療として実施できない臨床研究まで、混合診療を拡大し、医療保険の財源が流用されることになる。患者の安全性や医療の倫理性が蹂躙されることが危惧される。 一、骨子案では、「医療介護総合法」に基づく供給体制再編計画、医療費適正化計画、国保制度見直しを軸にした新たな医療費抑制策が盛り込まれ、都道府県にその責任を押し付けるものとなっている。 一、「社会保障プログラム法」に基づき、保険者が加入者の予防・健康づくりの「自助努力」に応じて「保険料への支援」を実施できることが盛り込まれている。保険料の減額や現金の支給について検討されているが、財政的な増減を生じさせない仕組みとされており、健康づくりを怠り、疾病リスクが高くなった加入者の保険料は増額されることになる。予防・健康づくりの取組を客観的に判断できるのか極めて疑問である。保険料は所得に応じて、保険給付は平等にという国民皆保険の原則を崩すことを認めることはできない。 一、骨子案は、@患者負担、A保険給付の範囲、B医療費適正化に関する施策について、「今後さらに検討を進めるべき事項」としている。「社会保障・税一体改革」路線のもとで、さらなる給付減・負担増の道筋をつけようとするもので、国民皆保険の崩壊につながることが危惧される。 以上 |