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医療・社会保障の切り捨てをやめ、
国民のいのちと暮らしを守る政治を求める決議

昨年末の総選挙を経て発足した第3次安倍政権は、小選挙区制度が作り出した虚構の「多数」を頼みに、国民皆保険を揺るがす「社会保障・税一体改革路線」、TPPをはじめ医療・社会保障の市場化・営利化をさらに推し進める計画である。消費税増税で国民に負担を強いる一方、法人実効税率の引き下げなどで一部大企業を優遇する姿勢も顕著である。

来る通常国会には、入院時食事代などの患者負担増、医療費削減を狙った国保運営の都道府県移管、患者申出療養制度の創設などの法案を提出する予定である。

しかし安倍政権・与党は、これまでの社会保障切り捨て政策や患者・国民負担増計画の是非を問うことはなく、総選挙で国民の信を得たものとは到底言えない。貧困と格差が広がるなか、医療・社会保障を充実させ、国民のいのちと暮らしを守ることが求められている。

また安倍政権は「集団的自衛権」行使の具体化で米国と共に「戦争ができる国」づくり、憲法改正をも狙う構えである。総選挙では沖縄の全選挙区で辺野古への新基地建設に反対する候補が勝利したにもかかわらず「オール沖縄」の民意を無視する姿勢に固執している。戦後70年の節目の年に、平和と民主主義に背く逆行は許されない。

東日本大震災・福島第一原発事故からの復興は大きく立ち遅れ、被災者・被災地はいまだに多くの困難を抱えている。阪神・淡路大震災から20年が経った今、被災者・被災地に寄り添い、生活再建と復興を支える政策の本格的な実現こそ、政治の責任である。

われわれは、社会保障と平和・民主主義をないがしろにする暴走政治に対して、「待合室から皆保険を守る」世論を広げ、以下の要求の実現に向けて、全力を挙げることを表明する。

 

一、入院時食事療養費の自己負担増、大病院受診時の定額自己負担導入、高齢者の窓口負担や保険料引き上げなどは行わないこと。原則3割の窓口負担は大幅に軽減すること。

一、患者申出療養など混合診療の拡大をやめ、必要な医療は速やかに保険適用すること。

一、2014年診療報酬改定の不合理を速やかに是正するとともに、医科・歯科の診療報酬を大幅に引き上げること。

一、歯科の医療費総枠を拡大し、健康保険のきく歯科治療の範囲を広げること。

一、保険料引き上げにつながる国保の都道府県単位化をせず、国保に対する国庫負担率を従前(1984年49.8%)に戻すこと。国保及び75歳以上の高齢者の保険料を引き下げること。

一、消費税の10%引き上げは中止すること。応能負担の原則に基づき、富裕層、大企業への課税を強め、所得再分配機能を十分に発揮させること。

一、医療、生活必需品への消費税には「ゼロ税率」を適用すること。

一、医療・介護給付費の抑制を目的とする医療・介護提供体制の再編を行わないこと。

一、介護保険の国庫負担割合を増やし、介護報酬を引き上げること。利用料や保険料の負担を拡大しないこと。

一、営利企業の要望に応じた医療の規制緩和、営利産業化をせず、TPPに参加しないこと。

一、税・社会保障の「共通番号」(マイナンバー)制の実施を見直すとともに、「患者の医療情報」をマイナンバーと結び付けないこと。個人の医療情報を安易に利活用しないこと。

一、保険医の人権と、患者の医療を受ける権利が保障されるよう審査、指導、監査を改善すること。

一、東日本大震災・福島第一原発事故からの復興に全力をあげ、被災者の生活再建に向けた施策を行うこと。国の責任で被災者の患者自己負担の免除・保険料(税)の減免措置を復活すること。

一、原発の再稼働は中止すること。「原発ゼロ」を実現し、再生可能エネルギーへの早期転換を行うこと。原発をベースロード電源とするエネルギー基本計画を撤回すること。

一、沖縄県民の総意に即し、名護市辺野古への米軍新基地建設をやめること。米軍普天間基地をただちに無条件返還すること。

一、「集団的自衛権行使」を具体化する法整備は行わないこと。特定秘密保護法は廃止すること。

以上、決議する。

2015年1月25日 全国保険医団体連合会 第2回代議員会