2015年5月21日
【談話】医療分野へ利用範囲を拡大するマイナンバー法および
個人情報保護法改定案の内閣委員会採決に抗議する
全国保険医団体連合会
副会長・政策部長 三浦 清春
政府・与党は、マイナンバー法および個人情報保護法改定案について、衆議院内閣委員会での採決を5月20日に行った。
法案は、現行法では保険給付の支給・保険料等の徴収に関する事務での使用に限定されているマイナンバーの利用を、保険者が行う特定健診等の情報管理等に拡大するとしている。
内閣府では、医療機関は健診の受診時にはマイナンバーは扱わず、被保険者証記号・番号と行政機関の間で情報連携する個人の「符号」を利用すると説明しているが、被保険者証の一部である記号・番号とマイナンバーが関連付くことになる。
個人の健康診査情報を手始めに、医療分野になし崩し的に利用範囲を拡大し、「患者の医療情報」の利活用への布石としていくことが懸念される。
そもそも、マイナンバー法施行前に利用範囲を拡大する法案を提出することは、マイナンバー法附則6条「法律施行後3年を目途として施行の状況等を勘案」して、「個人番号の利用の範囲を拡大すること」について検討を加え「国民の理解を得つつ、所要の措置を講ずる」との内容を大きく逸脱するものと言わざるをえない。
5月13日の衆議院内閣委員会参考人質疑では、マイナンバー法附則6条はリスク等について見極めた上で利用範囲の拡大を考えようとするものだが、施行前に利用範囲の拡大を決めようとすることは不当であるとの意見や、国民にきちんと周知しないまま番号が配られると漏洩や不正利用というリスクが必ず頻発する。このまま施行するのはあまりに危険であり延期も含めて検討すべきとの意見が出されている。
しかも、内閣府が2015年1月に実施した共通番号制度に関する世論調査結果では、マイナンバーについて「内容まで知っていた」との回答は全体の28.3%にとどまっている。
参議院ではこうした問題点について十分な審議を行い、拙速な施行はやめ実施を延期すべきである。さらに「患者の医療情報」など医療分野への利用拡大も行わないことを強く求めるものである。
以上