2015年5月22日 【談話】伊方原発「審査書案」の撤回を求める全国保険医団体連合会
原子力規制委員会は5月20日、四国電力・伊方原発3号機について、新規制基準に「適合」しているとする審査書案を了承した。九州電力・川内原発1、2号機、関西電力・高浜原発3、4号機に次いで3件目となる事実上の再稼働容認は、国民世論や司法判断を無視する決定であり、撤回すべきである。高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定で、新規制基準は合理性を欠くと指摘された。 伊方原発の近くには世界有数の活断層である中央構造線が走り、「南海トラフ」などマグニチュード9クラスの巨大地震の脅威にさらされている。基準地震動が650ガルに引き上げられたが到底十分とは言えない。また、避難計画の作成が義務づけられている30キロ圏内には、7市町13万人が居住しているが、圏外に避難するのに要する時間は最短でも6時間以上かかり、佐多岬半島の住民5,000人は、陸地での避難経路がなく孤立する恐れがあると指摘されている。過酷事故での瀬戸内海の内海特有の深刻な汚染の可能性も懸念されている。昨年、私たち公害環境対策部として視察して実感しているが、危険な場所に立地する伊方原発は廃炉とすべきである。 政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置づけたエネルギー基本計画に沿って、2030年の原発比率を、新たに新増設するか、40年の運転期間を延長するかしなければ実現しない水準に設定するなど、福島第一原発事故後も依然として原発依存政策を続けようとしている。原子力規制委員会による相次ぐ再稼働容認は、こうした政府の政策を先取りするものと言わざるを得ない。 世論は、原子力規制委員会が安全と認めても再稼働には反対が多数である。愛媛新聞が2〜3月に行った世論調査では、県民の7割近くが再稼働に否定的で、安全性への不安を訴える回答も9割近くに達している。 原子力規制委員会は、原発の危険性と被害の深刻さ重大さを明らかにした福島第一原発事故の教訓をふまえ、「審査書案」を撤回すべきである。 以上 |