【談話】カネミ油症新認定訴訟、最高裁上告棄却に抗議する2015年6月4日
国内最大の食品公害「カネミ油症」事件は発生時1万4,000人の届出があったとされ、現在も多数の潜在患者が存在する。事件の一連の訴訟が終結した1989年以降の認定患者や遺族54人が、原因企業のカネミ倉庫(北九州市)などに総額2億7500万円の賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は2日付で患者側の上告を退ける決定を出した。不法行為から20年が過ぎると損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に患者側の請求を棄却した1、2審判決が確定した。1審・福岡地裁小倉支部判決(2013年3月)は、カネミ倉庫が米ぬか油を製造する過程で原因物質のPCB製品「カネクロール」の混入を知り得たのに、漫然と製品を製造販売したとして不法行為責任を認めた。一方で除斥期間の起算点となる「不法行為が行われた時」を、最後に油を摂取した69年と認定。賠償請求権は89年に消滅したと判断した。患者側は「油症の症状は潜伏期間の経過後に表れる」として、起算点は患者認定時だと主張したが、2審・福岡高裁判決(14年2月)も1審同様に請求を退けた。下級審は、ともに除斥期間による権利の消滅を援用し訴えを退けているが、原告のほとんどは事件発生から30年以上経た後にカネミ油症と認定されており、認定前に裁判を起こすことは、事実上不可能であった。最高裁も門前払いの決定を行った。 記 一.汚染カネミ油による全被害者を対象にした健康調査を実施すること。 以上 |