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【声明】川内原発の再稼働中止を求める

2015年8月10日
全国保険医団体連合会
公害環境部長 野本哲夫

 

 連日の猛暑にもかかわらず、ピーク電力のシフト、再生可能エネルギーの普及、LED普及等省エネ努力及び事業所や家庭での節電など3.11後の国民の努力により原発稼働ゼロでも電力不足が生じておらず、電力9社が経常黒字となっている。
 こうした中、九州電力は8月11日午前10時半に川内原発1号機を再稼働することを発表した。私たち医師・歯科医師は、万一の原発事故時における患者・住民のいのち・健康・環境を守れない原発再稼働に反対するとともに、川内原発1号機の再稼働中止を求める。
 安倍首相は、「(原子力規制委員会が定めた)新規制基準に適合したものでなければ再稼働しない(8月7日衆議院予算委員会)」というこれまでの説明を繰り返し、各電力会社任せ・責任回避に終始した。しかし、原子力規制委員会の田中俊一委員長は「安全」について言及していない。
 私たちは、川内原発周辺30q圏内における医療機関等に対し、要援護者の避難計画の実態アンケートを行い「川内原発周辺8自治体の110施設中、避難計画の作成は30キロ圏内施設で6施設のみ(鹿児島県保険医協会・調査)」と全く未整備な状況を明らかにした。
 8月7日の国会審議で安倍首相は、これらの実態に対して「継続的に改善・充実を図る」と述べ、現時点で不備なまま再稼働を容認した。
 8月7日の国会審議で安倍首相は、「厳格な審査で安全性が確保されている」と述べ「噴火リスクや長期予測は困難で予知できないこと」という火山学者の知見に耳を傾けようとしない姿勢を示した。
 その他、原子力規制委員会による川内原発再稼働の審査書について、@安全基準、審査基準が福島のほんの一部を対策に盛り込んだのみである。A避難計画など住民の安全が確保されていない。B耐震設計の基準地震動が低すぎる。C巨大噴火のリスクを過小評価している。D事故時の拠点が未整備である、E地裁仮処分など法的にも認められていない、ことを指摘し、再稼働審査書の撤回を求めてきたがこうした問題点は何ら解決されていない。
 世論調査では、原子力規制委員会が安全と認めた原発についても再稼働に反対が過半数を占めている。住民の安全をまもるべき政府の役割を半ば放棄し、原子力規制委員会や電力会社任せの姿勢をあらため、安倍首相は、自らの決断で川内原発の再稼働方針を中止すべきである 。

以上