【声明】安保法案の強行採決に反対し、廃案を求める
2015年9月13日
全国保険医団体連合会
第21回理事会
8.30大集会で12万人もの市民が国会を取り囲み、戦争反対、安保法廃案を求めた。これに対し、安倍首相は、安保法案は戦争をするためではなく平和を守るために必要な法案であり、国民の理解が不足しているとの認識を示し、早ければ9月16日にも、参議院特別委員会で強行採決する方針を固めた。
参議院の審議では、自衛隊が安保法案の成立を前提に部隊運用計画などを作成している文書が暴露され、政府は同文書は陸海空自衛隊を統合運用する統合幕僚監部が作成したものであり内部説明用資料であり問題なしとした。しかし同文書では米艦隊防衛のための交戦規定の作成、日米の軍軍間の調整所の設置、南スーダンPKOでの「駆け付け警護」の任務追加、南シナ海での平時における警戒監視活動などが検討され、自衛隊が米軍の指揮下に入り海外で戦争する米軍の「下請け」とも言える状況となることが明らかにされた。
また、昨年12月に河野統合幕僚長が訪米時に行った米軍幹部との会談記録が暴露され、同記録では、昨年末の総選挙直後に「与党の勝利により来年夏までには終了するものと考えている」と述べたことが記されていた。自衛隊トップが政府内で法案の骨格さえ決まっていない段階で法案成立を前提に行動している実態は、シビリアン・コントロールが形骸化した軍部の暴走と呼ぶべき行動であり断じて許されない。
安倍首相が集団的自衛権行使の事例としてあげてきた「邦人輸送の米艦防護」については、中谷防衛大臣が「邦人が乗船しているかどうかは絶対条件ではない」と国会答弁、「ホルムズ海峡の機雷掃海」もイラン当局者が機雷封鎖の可能性を否定するなど、法律の必要性を証明する立法事実が崩壊している。このように参議院で審議すればするほど、法案の問題点が噴出する一方、廃案を求める世論はますます広がっているが、安倍首相は、国民の疑問に何ら答えることなく、強行採決に突き進もうとしている。
私たち医師・歯科医師は、国民の命を犠牲にする安保法案を、国会を軽視し、立憲主義をないがしろにし、多くの市民が違憲と考えるなかで強行採決することを断じて許すわけにはいかない。徹底した審議の上、廃案とすることを強く求める。
以上