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【抗議声明】川内原発2号機の「再稼働」強行に抗議し、
ただちに中止を求める

2015年10月15日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長
野本 哲夫

 

 10月15日、九州電力は川内原発2号機を「再稼働」した。同2号機は1985年の運転開始から30年になろうとする老朽原発であり、その蒸気発生器は損傷した細管に栓をしたままの状態である。九州電力自身が公言し、2014年夏には交換を終えているはずの旧型蒸気発生器で「再稼働」を強行し、大きな危険を抱えたまま、運転再開や企業収益確保を優先させ、安全性を軽視した姿勢に強く抗議するとともに、万が一の事故に直結する再稼働をただちに中止するよう求めるものである。
 旧型蒸気発生器で「再稼働」することとなった経緯は、一切住民への説明も無く、「説明にもとづく同意」へのプロセスを無視し、最低限の社会的責任も果たしていないと言わざるを得ない。鹿児島県民の60%が再稼働に「反対・どちらかと言えば反対」と意思表明している事実に真摯に向き合うこと無く、鹿児島・熊本・宮ア3県の13自治体が要求した「住民説明会」開催にも応ぜず、万が一の避難訓練も実施しておらず、住民の生命を守る自治体の義務が果たされていない中での再稼働は、許しがたい。そもそも、福地裁判決が「250q圏内に住む住民は差し止めを求めることが出来る」と述べたように、広範な国民が再稼働に同意権限を有することを認めるべきである。
 伊藤祐一郎鹿児島県知事は、本日の記者会見で「重大事故で住民が避難することになれば我が国の原子力政策は終わる。それくらいの認識で規制委員会も審査している」と述べた。しかし、原子力規制委員会は、再稼働のリスクはゼロとは言っておらず、国際原子力機関(IAEA)が原発稼働の条件として求めている避難計画の策定と実効性の担保すら、再稼働の審査対象となっていない。知事は、この事実を真摯に受け止め、認識を改めるべきである。鹿児島県保険医協会がこのほど実施した原発過酷事故避難計画や緊急被ばく医療に関する医療・介護福祉施設へのアンケート結果でも、圧倒的に対策が不十分であることが判明した。国民の生命と健康を守る私たち医師は、「原発ゼロ」の実現と廃炉、再生可能エネルギー中心の社会の実現に向けて運動を推進する決意を改めて表明する。

以上