ホーム

 

【アピール】川内原発1,2号機再稼働の即時停止を求める

2015年11月21日
全国保険医団体連合会
川内原子力発電所:公害視察会参加者一同

 

 国民の多くが原発からの脱却を望み、危険にさらされる不安を抱えた多くの住民が反対しているにもかかわらず、九州電力は11月17日川内原発2号機の営業運転を強行した。
 川内原発の大きな問題の一つは、約3万年前に姶良(あいら)カルデラで起きた「破局的噴火」に伴う大規模火砕流が、現在の川内原発の敷地まで及んでいた事実である。九電は噴火の前兆を捉えて対応出来ると言うが、前兆を捉えることは非常に困難であり、火砕流が流れる場所への原発の立地は無謀である。「破局的噴火」により過酷事故が起こった場合、風向きなど気象条件により、九州全体はおろか東北にまで放射能が降下する恐れがある。その上、2号機は稼働後30年にもなる老朽原発であり、耐震評価も終わっておらず、さらに旧型の蒸気発生器損傷による重大な危険性が指摘されており、九電自身が交換することを公言しながら、交換せずに再稼働された。企業利益を優先させ、安全確保をないがしろにした九電の責任は重大であり、このような老朽原発は廃炉が相当だと言わざるを得ない。
 また今回の再稼働の前提となる、新規制基準には、国際原子力機関(IAEA)が求めている避難計画の策定と実効性の担保が位置づけられておらず、計画の実効性はまったく検証されていない。原子力規制委員会は、再稼働のリスクはゼロとは言っていない。そればかりか、フランスの同時テロのように意図的に原発が攻撃された場合のシビアアクシデントの対処施設の設置が義務づけられているにもかかわらず、審査の遅れを理由に2020年まで猶予されている。
 11月14日には、鹿児島西方沖でM7の地震があり、津波が観測されたが、川内原発周辺の放射線量測定装置(モニタリングポスト)25基が電力不足のため断続的に測定不能となっていたことも発覚するなど、万一の事故に備えた対策も不備のままである。
 また鹿児島県保険医協会は、川内原発周辺30q圏内における医療機関等に対し、要援護者の避難計画、緊急被ばく医療に関する実態アンケート調査を行い「川内原発周辺8自治体の110施設中、避難計画の作成は30キロ圏内施設で6施設のみ。安定ヨウ素剤の服薬指導、職員の被ばく防護対策などの対策が不十分であり未整備な状況」を明らかにした。
 本会は国民のいのちと健康を守る医師、歯科医師の団体として、川内原発1、2号機即時停止とともに、原発の再稼働・新増設をやめ、ただちに「原発ゼロ」を実現することを求める。

以上