【談話】高浜原発再稼働に抗議する
2016年1月29日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本 哲夫
関西電力は1月29日、高浜原発3号機(福井県高浜町)の原子炉を起動し、再稼働させた。同県には高浜原発の他、大飯、美浜、敦賀の各原発、高速増殖炉「もんじゅ」などの原子力施設が集中立地し、敦賀原発2号機の直下の断層は「活断層」であると昨年11月規制委員会の有識者会議が報告した。重大事故のリスクは他の原発の比ではない。今、全国で問題になっている原子炉制御ケーブルの不正敷設問題で高浜3、4号機は報告の対象外であり、重大事故につながる可能性がある。プルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を一部使っており、「ガソリンを石油ストーブで燃やすに等しい」とも言われている。こうした危険性にも関わらず再稼働させた関西電力の責任は重大であり、厳重に抗議する。いまだ収束もせず、10万人もの避難が続く福島原発事故の教訓を一顧だにしていないと言わざるを得ない。
高浜原発は30キロ圏内に福井県だけでなく京都府、滋賀県が含まれ、事故の際の避難人口は数十万人規模となる可能性がある。また、近畿の水瓶琵琶湖が汚染されれば、死活問題となりかねない。大飯原発差し止め判決では、人格権を保障する立場から250キロ圏内の住民に対し事実上の拒否権を認めた。
昨年4月、高浜3、4号機について、運転再開の差し止めを命じた福井地裁の仮処分決定は、危険な原発の再稼働に警鐘を鳴らしたものであり、国民世論に沿った決定である。一昨年の福井地裁判決に続いて、原発の持つ本質的な危険性と被害の深刻さ重大さを指摘したものである。
関西電力は高浜原発3号機の運転を直ちに中止するとともに同4号機の再稼働を断念すべきである。同時にケーブル敷設を直ちに自主点検し、使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設の方針を撤回すべきである。
また、政府は原発への依存政策をやめ、エネルギー基本計画で示した「原発依存度を可能な限り低減する」ために、原発からの撤退を直ちに決断すべきである。
以上