ホームニュースリリース・保団連の活動私たちの提言・意見

 

【声明】「被爆体験者」第二陣認定訴訟判決
すべての「被爆体験者」原告に被爆者認定を

2016年2月24日
全国保険医団体連合会

 

 2月22日、長崎地裁(松葉佐隆之裁判長)は、被爆未指定地域の原告(いわゆる被爆体験者)らが被爆者認定を求め長崎市・長崎県を訴えていた裁判(被曝体験者第二陣訴訟)について一部の原告を勝訴とする判決を下した。

 同判決では、原告161人の原告(死亡原告を含む)のうち、被曝線量が高いと推定された10人を被爆者と認定し、長崎市や長崎県に対し被爆者健康手帳を交付することを命じた。

  当会は核廃絶を求める医師・歯科医師の団体として、核兵器と核被害の後障害に苦しむ被爆者に実態に則し被爆者援護行政の改善を求めるとともに被爆者認定訴訟を支援してきた。

 同判決は、被爆未指定地域にいた被爆体験者を「被爆者」と認定し被爆者健康手帳の交付を長崎市らに命じたことは、これまで認められてこなかった範囲まで認められた点で一歩前進である。

 しかしながら、同判決では、低線量域の被曝における内部被曝の健康被害について、具体的な線量が明らかでないことから健康被害が生ずる可能性がないとし、原告側が推計した被曝線量を元に「被爆者」を線引きし、151人の原告の訴えを却下したことは遺憾である。

 また、福島の事例を元に、自然界の約10倍にあたる25ミリシーベルトを越える地域にいた原告のみ健康被害の可能性があるとする基準を示したが、合理性に欠けるものと言わざるを得ない。

 同基準は、放射線防護に関する国際機関(ICRP)が示した平時における放射性被曝限度の値を大きく超過するものであり、判決が内部被曝を含めた健康被害の可能性を勘案していないことを含め科学的な根拠が乏しい判決と言わざるを得ない。

 高齢原告は、次々と死亡しており一刻の猶予も許されない。161人すべての原告を被爆者として認定すべきである。また、被爆地域を拡大し、全ての被爆体験者を被爆者と認定するなど被爆援護行政を改善することを求める。

以上