ホームニュースリリース・保団連の活動私たちの提言・意見


医療充実の政治を
―参院選をターニングポイントに―

全国保険医新聞2016年6月15日号より)
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 今、窓口負担などの経済的な負担を苦にして、必要な治療を中断してしまう患者さんが、非常に多い。私たちが取り組んだ受診実態調査では、医科歯科あわせて4割の医療機関が、そうした患者さんを目にしています。歯科にいたっては5割を超えました。継続的な管理がなければ重症化する糖尿病や高血圧症の患者さん、自己負担が重くなる補綴装着時などで、特に中断が多くなりました。
 「アベノミクス」の3年間、実質賃金は下がり、家計の消費は冷え込みました。治療中断の背後には、必要不可欠な治療さえも控えざるを得ない生活の苦しみがあるのではないでしょうか。参院選に向けた世論調査では医療、介護、年金など社会保障への関心が最も高い。生活が不安定になる中、安心して暮らせる制度を求めているのではないでしょうか。
 しかし政府は、参院選後にさらなる患者負担増と給付抑制、病床削減を計画しています。患者さんを今にも増して医療機関から遠ざけることになりかねません。
 近年、医療界では、かかりつけ機能の充実や、医療機関の消費税問題の解決など、今後の医療のあり方を左右する重要な議論が進んでいます。しかし、これらは患者さんの生活が安定し、医療機関を受診してもらえる環境が整っていなければまったく空転しかねません。
 7月10日に投開票となる参院選を、医療・社会保障を充実し、国民生活を支える政治を実現していくターニングポイントにすることを会員の皆様に呼び掛けたいと思います。
 また、今回の参院選では政府が進めてきた重要政策に、広範な市民が反対や懸念の声を上げたことも特徴です。TPP合意反対、原発依存からの脱却、安保法廃止―こうした声に応えた野党の共同も生まれています。これらの要求は保団連が掲げてきたものでもあります。参院選は保団連の要求を広範に実現し得るまたとない絶好の機会であることを強調したいと思います。

以上