ホームニュースリリース・保団連の活動私たちの提言・意見

※全国保険医団体連合会では、下記の要請書(23日付)を厚生労働大臣、報道関係者に送付いたしました(PDF版はこちら)。

【要請書】高額療養費制度の改善で負担軽減を求める

2016年8月23日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 前略 国民生活の向上に対する日頃のご努力に敬意を申し上げます。
 私ども、全国保険医団体連合会(会長:住江憲勇、略称:保団連、会員数10万5千人)は、全国の医師・歯科医師で構成する団体です。 
 現在、厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会で70歳以上の高額療養費制度の外来特例(現役並所得4.4万円、一般所得1.2万円、住民税非課税0.8万円)を廃止する検討が行われています。
 しかし、当会が会員医療機関に対して行った受診実態調査では、約4割の医療機関で経済的な理由で治療中断があったとしています。日本の窓口負担は欧州の先進国と比べて高い水準です。
また、外来特例の廃止は、在宅医療等を推進する「地域包括ケアシステム」の構築という政府の方針にも逆行します。
 所得の低い層や医療費負担が長期にわたる患者の実態などをふまえ、窓口負担軽減の実現をめざすとともに、高額療養費制度の改善による負担軽減を実現していただくよう、下記の事項について要請いたします。

1.

70歳以上の外来特例は廃止しないこと。
※外来特例は、2002年に月額上限を廃止し定率1割負担を徹底した際の負担軽減策として導入された。

2.

負担限度額を現行水準の2分の1程度に引き下げること。特に、負担限度額が高く利用できないケースが多い外来の限度額をさらに引き下げること。

3.

高額療養費制度は国民の負担限度額を規定しているにもかかわらず、1%条項の「応益の仕組み」によって、重度で高度の治療が必要な人ほど負担が増える仕組みとなっている。この「応益の仕組み」を完全に撤廃すること。

4.

同一保険者である場合は、1カ月の負担額が21,000円未満であっても世帯合算ができるようにすること。
同一世帯においては、異なる保険者であっても世帯合算できるようにすること。
高額医療・介護合算療養費は、申請による償還ではなく、職権適用による償還とすること。

5.

月をまたぐと合算できない問題があるため、その治療が終了するところまでで合算できるようにすること(治療が長期間にわたる場合は、一定期間で区切りをつけて合算する)。

6.

「多数該当」は、1年以内に3回高額療養費給付月があった場合、4回目以降は減額をされる。1年以内という条件を緩和し、同じ疾患への治療で高額療養費の給付があった場合には、1年を超えても4回目以降は減額をすること。

7.

自己負担限度額に年間の上限額を設けること。
※2012年11月16日の社会保障審議会医療保険部会で厚労省は「年間上限額設定の考え方」を示した。

8.

高額療養費制度を使いやすくするため、手続きを簡素化すること。
制度のことを知らない患者が多いため、広報活動を充実すること。

以上