※全国保険医団体連合会は、9月17日〜18日に「第34回病院・有床診療所セミナー」を開催し、以下の決議を上げました(PDF版はこちら)。
政府は、患者・国民には大幅な負担増、医療機関には診療報酬引き下げを強いるとともに、医療や社会保障を民間営利企業の儲けの対象にする社会保障の連続改悪を進めている。 2016年診療報酬改定では、総枠で1.44%のマイナス改定を実施し、急性期病床と療養病床の削減に向けた要件強化を行うとともに、入院時食事の患者負担の引き上げを実施した。 また、昨年6月15日には安倍首相直轄の専門調査会が「地域医療構想策定ガイドライン」に基づいた「2025年の必要病床数の推計結果」を発表し、一般・療養病床を2025年までに15〜20万床削減して、115〜119万床にすべきと提言。これについて厚労省は「参考値」と強調したが、その後、都道府県で進められている地域医療構想策定の中では病床削減案が次々に示されている。 そもそもガイドラインは、今でも大きな問題である受診抑制を改善せず、在宅療養が確保できる制度実現の目処も立たないまま、患者を入院から在宅へ追い出すものであり、調査会の削減試算をなぞるような地域医療構想の策定をすべきではない。北海道、三重、徳島、鹿児島の道県議会では、「地域の実状を無視した地域医療構想の推進をやめること」などの決議が採択されている。 また介護療養病床と25対1医療療養病床は、2018年3月末での廃止を前提に新たな類型が検討されているが、現在も地域に必要な病床であり、高齢化の進展の中で、廃止期限を延長した平成23年よりも、その存続意義はますます高まっている。 なお、政府の経済財政再生アクションプログラムでは、「居住費負担増」、「70歳以上の患者負担上限引き上げ」、「75歳以上の2割負担化」、「市販類似医薬品の保険外し」、「都道府県単位の診療報酬」、「かかりつけ医以外の窓口負担増」、「後発医薬品との薬価差の患者負担化」、等を提案。介護でも負担拡大を提案している。このような患者負担のさらなる拡大は、医療を受けられない人を増大させてしまうもので、絶対に実施させてはならない。 平成22年版厚生労働白書では、社会保障分野の「総波及効果」は公共事業よりも高く、主要産業より「雇用誘発効果」が高いことが示されている。社会保障への支出は、社会保障を受ける人を救うだけでなく、雇用を確保し日本経済を押し上げる効果を有する。 2014年の大企業の内部留保は300兆円に増大しているが、内部留保は、雇用を改悪し、法人税減税によって得たものである。賃金や雇用体系を改善し、諸外国と比べて低い社会保障に対する事業主負担を引き上げるなど、大企業の内部留保を社会に還元させ、高薬価を是正すれば、診療報酬を引き上げ、雇用と生活、社会保障を守ることが可能である。 私たちは、患者さんが受ける医療を守るため、次の事項の実現を求めるものである。 記
以上、決議する。 2016年9月18日全国保険医団体連合会 |