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※全国保険医団体連合会は、11月10日に緊急で下記の声明を発表しました(PDF版はこちら)。

【緊急声明】TPP協定を今国会で批准しないでください
―衆議院本会議での採決に抗議します―

2016年11月10日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 政府・与党は、徹底審議を求める多くの国民の声を無視して、11月4日、衆議院特別委員会でTPP協定の承認案および関連法案の採決を強行し、アメリカ大統領選挙の結果など、情勢の変化にもかかわらず、本日10日、衆議院本会議で可決、参議院に送付しました。

 衆議院では、山本有二農水相の「強行採決」発言、野党が審議拒否をする中での参考人質疑の強行など、与党による強引な国会運営が続き、本格的な審議は始まったばかりでした。

 また、8,000ページにもおよぶ協定文のうち、日本語に翻訳されたのはわずか2,400ページほどで、交渉過程も一切明らかされないなど、国会にも、国民にも十分な情報公開がなされていません。これでは国民は是非の判断もできません。「白紙委任せよ」とでも言うのでしょうか。

 地方公聴会、参考人質疑では、食の安全、農業への影響などを危惧する意見が相次ぎ、徹底審議を求める声が続出しました。また、世論調査でも約7割が「今国会にこだわらず、慎重審議するべき」と回答しています。こうした国民の声に応えず、内容も明らかにしないままに、わずかな審議時間で衆議院での採決を強行したことは、断じて許されません。これは「情報開示と国民的な議論」を求めた国会決議にも反するものです。国会軽視、国民不在の政権運営に断固抗議します。

 医療分野では、特許期間の延長やバイオ医薬品のデータ保護期間の設定といった多国籍製薬企業に有利なルールで高薬価が維持される、こうした仕組みによって安価で有効な医薬品が手に入りにくくなる、ISDS条項導入で医療の非営利性が脅かされることなどが危惧されます。

 また、この間の国会審議では、日米両政府が交わした「書簡」に「関連する将来の保健医療制度を含む」事項について「協議する用意がある」とされており、公的医療保険制度が今後の協議対象になること、日本の薬価算定に米国の製薬企業が介入する仕組みが盛り込まれていることなどが指摘されています。

 私たちは、TPP協定によってわが国の公的医療保険制度が切り崩され、国民の生活と健康が脅かされることを強く危惧します。

 地域医療に従事する医師・歯科医師の団体として、衆議院本会議での採決に抗議するとともに、あらためて今国会でのTPP協定の国会承認と関連法案の可決を行わないよう、強く求めます。

以上