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※全国保険医団体連合会は、TPP(環太平洋連携協定)協定の批准および関連法案の成立を受けて、以下のとおり会長談話を発表しました。(PDF版はこちら)。

【談話】公的医療保険制度をまもるため、
今後も全力をあげることを誓い
TPP協定批准に強く抗議する

2016年12月15日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

 

 12月9日、参議院本会議にて、TPP協定の批准と関連法が成立した。
 政府・与党は、次期アメリカ大統領が「TPPからの離脱」を明言し、もはやTPP発効がまったく見通しがつかなくなったのにも関わらず、強行採決をはじめとする強引な国会運営を行った。これは、多くの国民にはまったく理解できないものである。このたびの協定の批准と関連法の成立、そして憲政上まれにみる乱暴で不可解な国会運営に強く抗議するものである。
 11月25日の参議院TPP特別委員会で行われた公聴会において、当会会長の住江憲勇が公述人として参加、発言した。そこではTPP協定について、「わが国の公的医療保険制度を切り崩すもの」であるとして、(1)医薬品の保険適用や薬価の決定過程への製薬企業の参加、新薬の特許保護の強化等によって、新薬の高止まりが続き、医療保険財政を圧迫すること、(2)「ISDS条項」の導入で医療の非営利性が脅かされること、(3)助け合いの共済制度に民間保険会社と同等の規制がかけられる恐れがあることを指摘した。
 もはやTPP発効の見通しがつかないものの、今後、次期アメリカ大統領のもとで2国間協議が進められる可能性が高い。そこでは、私どもが指摘してきた上記の懸念やそれ以上にわが国の公的医療保険制度を切り崩すような要求が交渉の遡上にのせられる可能性がある。
 先の公聴会で述べたが、今日の医学・医療をあまねく国民1人ひとりに享受できるようにすることが医師・歯科医師、医学者の倫理であり、これをまっとうできるのは公的医療保険制度があるからこそである。公的医療保険制度が切り崩されることで、不幸な影響を受けるのは患者、国民である。
 全国保険医団体連合会は、この間、広範な市民・団体と連携を深めながら、TPPの批准阻止に向けて取り組んできた。今後も、国民のいのち、健康を守る医師・歯科医師の立場から、公的医療保険制度を脅かすすべての貿易交渉、貿易協定の阻止に向けて全力をあげる。

以上