※全国保険医団体連合会は、TPP(環太平洋連携協定)協定の批准および関連法案の成立を受けて、以下のとおり会長談話を発表しました。(PDF版はこちら)。
2016年12月26日
12月21日開催の経済財政諮問会議で、民間議員から「薬価の議論と併せて診療報酬の改定についても諮問会議で議論すべき」との意見があり、石原内閣府特命担当大臣は「検討させていただくということで引き取らせていただいた」と記者会見で報告した。追加説明に立った黒田内閣府参事官は、民間議員より「来年は2年に1度の診療報酬改定の年。院内、院外処方の在り方や技術料の在り方などについてもしっかりと諮問会議で議論していくべき」との発言が出たと述べている。 この民間議員の発言は、国民医療の質・量・方法・水準を大きく規定する診療報酬の在り方について、中央社会保険医療協議会が果たしてきた重要な役割をないがしろにするものであるだけでなく、精緻かつ慎重な検討がされている診療報酬改定の審議のあり方についての理解を欠くものであり、本会は抗議するものである。 中医協は、社会保険医療協議会法に基づいて、診療報酬の在り方について、医療提供者、保険者及び公益を代表する委員(国会同意人事)の三者で構成される。互いに緊張関係を持ちつつ、可能な限り全員一致を目指して審議を重ねている。 入院・在宅・外来、調剤や技術・個別的事項など多くの議題毎に、これまでの審議の到達点を踏まえ、改定結果検証等様々なデータを精査しつつ、将来のあるべき国民医療の姿なども見据えて、専門的な審議を慎重かつ継続的に進めている。課題別に10以上に及ぶ部会、小委員会、分科会等で掘り下げた審議が行われた上、総会で更なる議論を経て、了承される熟慮ある審議が担保される手続構造となっている。 改定実施直前ともなれば、総会は週2回、更には連日の開催で徹底的な審議を尽くして「答申」案をまとめた上で、ヒアリング・公聴会、パブリックコメントなどを踏まえて、最終的に診療報酬改定の実施へと至る。こうした審議を重ねる中で、中医協は、医学・医術の進歩を着実に保険診療に反映させ、国民医療の向上に努めてきた。 中医協での診療報酬改定の審議は、諮問会議のように、ごく一部の民間議員から一方的に提言等が提出され、ごく短時間の議論や実質上の審議すらないままに、その在り方や方向性が決められるような性質のものではない。ましてや、経済・財政の視点からのみ審議する諮問会議の意向等が診療報酬改定の審議に直接持ち込まれた場合、医療現場に大きな混乱がもたらされることは必至である。また、診療報酬改定の基本方針については、社会保障審議会で審議されており、諮問会議における診療報酬改定に係る細部の議論は不要というべきである。 以上 |