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※全国保険医団体連合会は、2月15日に塩崎厚生労働大臣宛で下記の要望書を送付しました。(PDF版はこちら)。

麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)供給不足による
定期接種未接種児への対応と
ワクチンの安定供給を求める要望書

2017年2月15日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

 

 国民医療の確保と改善に向けた日頃のご尽力に敬意を表します。
 現在、MRワクチンが製造元の出荷停止や昨年の麻しんの突発的な流行等による接種希望者の急増によって、ワクチンが十分に行き渡らず、不足する事態が発生しています。そのため、本来の定期接種期間内に接種できない可能が指摘されています。
 定期接種の期間内に接種できなかった場合、供給不足が理由であっても定期接種とはならず任意接種となってしまいます。定期接種と違い、任意接種は高額な費用を接種希望者が負担しなければならず、接種率低下につながることも予想されます。接種率の落ち込みは、将来的に麻しん流行の要因となりかねません。昨年、関西国際空港で発生した突発的な麻しんの流行は、大半は接種歴が無、または不明の人が感染しています。また、今年に入り三重県でも10代から40代までの成人による職場内での集団感染が発生しており、定期接種で免疫を獲得することは流行の拡大防止に必要不可欠です。さらに乳幼児が麻しんに感染すると、まれにSSPE(亜急性硬化全脳炎)を発症することがありますが、定期接種で集団免疫を獲得することにより子どもたちを感染症から守ることも重要です。
 予防接種は副反応による健康被害が起こることもありますが、健康被害への補償は、定期接種と任意接種で大きく異なります。定期接種希望者が供給不足によって任意接種となり、副反応による健康被害が起こった場合の補償はまったく不十分です。
 予防接種は国民の命と健康を守る、重要な感染症対策のひとつです。供給不足でワクチン接種ができない事態はあってはならないことですが、今回の供給不足など特別な事情で定期接種期間内に打つことができない場合、定期接種として柔軟に対応するべきです。すべての希望者が安心して必要なワクチン接種を受けられるよう、国が責任を持って供給体制を整備するとともに、下記の対策を講ずるよう要望します。

一、

供給不足によって定期接種期間内に接種できなかった対象者に対し、経過措置を設け、接種費用等について国が財政支援を行うこと。

一、

ワクチン不足が起こらないよう、安定供給に国が責任をもつこと。

以上