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※全国保険医団体連合会は、抗議声明を安倍総理宛に送付しました(PDF版はこちら)。

【抗議声明】安倍首相の「2020年憲法改正・施行」発言に抗議

2017年5月18日
全国保険医団体連合会
非核・平和部長 永瀬勉

 

 安倍首相は、「東京五輪開催の2020年まで」と期限を区切り、憲法9条を改正し自衛隊の存在を明記することをはじめとする具体的な改憲にとり組むべきとの考えを示した(読売新聞5月3日付)。また、憲法審査会での議論を促し、自民党内の検討を急がせる意向を示し、国民投票と総選挙の同時実施もちらつかせるなど改憲に向けた地ならしとも言うべき発言を繰り返している。
 そもそも憲法改正は国会議員が国会においてのみ発議できるものであり、安倍首相の発言は、内閣総理大臣は憲法99条(憲法擁護義務)を逸脱するものである。
 また、憲法9条への自衛隊存在の追記は、憲法9条2項で規定した戦力の不保持と矛盾し、憲法の平和主義原則を蹂躙するものである。
 安保法制施行後、安倍政権は、自衛隊をPKO部隊として海外や紛争地域に派遣し、駆け付け警護による武器等使用を拡大させ、北朝鮮脅威を口実とした米艦防護など他国軍との共同作戦を実施させるなど違憲立法に基づく、自衛隊による軍事行動の既成事実が積み重ねられている。
 安倍首相は、憲法9条改正の最大の理由として、安全保障環境の変化を挙げ、自衛隊が違憲のままでは無責任である、このままでは自然災害など国民を守る任務に命を賭けることができないと主張している。
 しかし、北朝鮮による核・ミサイル開発に伴う挑発行為への対処は、6ヶ国協議の枠組みで、非軍事による外交努力を継続すべき時であり、そのことは、戦後70年他国と戦禍を交えることなく、平和国家日本を築いてきた先人達の知恵である。
 ましてや、自衛隊による「自然災害」時の対処任務(国民の生命・財産を守る)を、戦力不保持を宣言した憲法9条と並列に扱い、「改正が必要」と主張することは、自衛隊員の災害救助の努力や被災者・国民の要求を逆手に取り、9条改憲に利用するものであり言語道断である。更に、安倍首相の改憲提案として、高等教育の無償化のため憲法26条を改正すべしと主張している。日本は、高等教育の無償化を求める国連条約に批准しており、政治家の判断一つで実現可能であり、あたかも憲法改正しないと実現できないとの主張は、国民を欺くものと言わざるを得ない。
 私たち医師・歯科医師は、憲法の平和主義を骨抜きにし、自衛隊と他国軍との軍事協力を行うこと、そのために憲法9条を改正することに断固反対する 。

以上