※全国保険医団体連合会は、下記の抗議声明を全国会議員、マスコミ各社に送付しました(
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【抗議声明】介護保険法等「改正」案の可決、成立に抗議します
2017年5月26日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」は、5月26日の参議院本会議において採決が強行され、自民、公明、維新などの賛成多数で可決、成立しました。
今回の法案に盛り込まれている介護保険制度の見直しには、「現役並み所得者」の利用料3割化など新たな負担増が盛り込まれています。介護利用者・家族からはこれ以上の負担増はもう限界だと悲鳴が上がっています。
私たちが4月20日に国会内で開催した「介護保険法『改悪』に反対する」集会では、認知症の人と家族の会から、「前回の『2割負担』化で、『食費を削らないと生活ができない』『死ねということか』という声が上がっている」との発言が出されました。また、当会が現在取り組んでいる「医療・介護の負担増の中止を求める請願署名」には、この3ヵ月間で約12万7千人もの方から賛同が寄せられています。
こうした国民の切実な声に耳を傾けず、国民の困難な状況を見ようともせずに、法案を可決、成立させた安倍政権の姿勢に、強く抗議します。
今回の法案には、負担増のほか、長期療養を担う療養病床の削減・廃止を前提とした介護医療院の新設、「自立支援」を名目にした給付削減強化、目的と役割が異なる介護と障がい者福祉を同一事業所に担わせて、サービスの専門性が低下しかねないなどの恐れがある「共生型サービス」の創設など、懸念される点が多数含まれています。
5月23日の参議院厚生労働委員会の参考人質疑では、保険者機能の強化、「財政的インセンティブ」によって、サービスの取り上げが進むことが明らかとなりました。参考人からは「介護保険の内容がゆがめられている」と強い懸念が表明されています。
近年、多数の法「改正」を一つに束ね、一つひとつの論点について十分な議論をつくさずに短時間で成立させるやり方が「常態化」しています。本法案も、衆議院での審議はわずか22時間、地方公聴会も開催せずに採決を強行しました。こうした強引な国会運営に批判が高まる中、参議院においてもわずか16時間の審議で採決を強行し、法案を成立させたことは断じて許されません。
今回の法案に留まらず、政府はさらなる医療・介護の負担増、給付削減を狙っています。改めて介護保険法等「改正」案の可決、成立に抗議するとともに、これからも、いのち、健康を守る医師・歯科医師として、患者さん国民とともに、負担増をストップさせ、誰もが安心して受けられる医療を守る運動に全力を尽くすことを、ここに表明します。
以上