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※全国保険医団体連合会は、以下の談話をマスコミ各社に送付しました(PDF版はこちら)。

【談話】歯科の院内感染対策にかかわる
「読売新聞」報道に関して

2017年8月1日
全国保険医団体連合会
研究部・歯科部長 鵜飼 伸

 

 2017年の厚生労働省研究班(代表=江草宏・東北大学歯学部教授)調査で、全国の歯科医療機関の半数近くが、歯牙切削器具を患者ごとに交換せずに使い回している可能性があることが読売新聞で報道されました。使い回しが約7割だった5年前の調査に比べて改善したものの、院内感染のリスクが根強く残る現状が浮き彫りになったとしています。

 前回2014年の報道時にも保団連歯科研究部長の談話を発表しましたが、今回の報道に関しても、基本的には日本歯科医学会のガイドラインに従い、適切な滅菌消毒をしていくことが求められています。

  そのような立場から保団連としては、歯科での院内感染対策を推進するために歯科医師および歯科医療従事者の感染管理の意識向上に向けて各種冊子や研修会にも取り組んできました。しかし歯科外来環境体制加算はあるものの、感染対策を主とした入院での「感染防止対策加算」と比較して、歯科外来における感染対策コストに見合うだけの安心安全の担保は診療報酬上まだまだ完全に保障されておらず、歯科診療所の自助努力にある程度頼らざるを得ない実態です。「医療安全を確保するために―院内感染対策費の検討―」(日本医療管理学会雑誌第51巻第1号40〜45(2016))では、医療安全を確保ためにかかるコストを試算、検討されていますが、「院内感染対策費の総計1,127円に対し、再診料45点と外来環加算4点の合計490円という隔たりは大きいといわざるをえない」と述べています。さらにこの試算における患者数は24人ですが、「この人数よりも少なくなれば、患者1人あたりの院内感染対策費は上昇する。つまり、この診療環境条件より1日の患者数が少ない歯科診療所は、試算結果以上の負担を担うこととなる」と指摘しています。

 今回の再びの報道での指摘を真摯に受け止め、院内感染防止対策をより一層確実なものにし、安心安全の医療を提供するために努力することと、それを担保する診療報酬上の補償を国に強く求めるものです。

以上