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※全国保険医団体連合会は、以下の要望書を下記の宛先のほか、マスコミ各社に送付しました(PDF版はこちら)。

厚生労働大臣 塩崎 恭久 様
厚生労働省医政局長 武田 俊彦 様
厚生労働省保険局長 鈴木 俊彦 様
厚生労働省保険局医療課長 迫井 正深 様

【要望】都市部で拡大しつつある
慢性疾患管理を中心とした「遠隔診療」について
次回診療報酬改定での拙速な評価の新設は止めるべき

2017年8月2日
医科社保・審査対策部長 武田 浩一

 

 中央社会保険医療協議会(以下、中医協)では、民間営利企業が都市部のビジネスパーソン等をターゲットとしてツール開発等を進めている「遠隔診療」について、本年2月から保険導入に向けた審議が開始されています。
 しかし、財界主導の政府の各審議会から中医協に対して提示される意見は、▽医療分野における新規ビジネスの普及・拡大、▽医師「偏在」対策としての「遠隔診療」の活用―等を目的として保険導入を推進すべき、との立場に終始しており、患者に対する医療安全管理の観点や、医学的なエビデンスに基づく議論は全く提起されていません。
 また、個別項目としては▽かかりつけ医登録済患者等に限定した“遠隔”初診料の解禁、▽非対面診療による禁煙治療等に係る指導管理の評価の新設、▽在宅医療への導入―等の論点が示されていますが、中医協で医学的エビデンスは示されておらず、保険導入を進める根拠は不明瞭です。
 2017年2月8日の中医協で、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)が「遠隔診療やAIを用いた診療支援に関して、2018年改定で対応を検討するのは拙速」と指摘したように、まずは中医協等において医療保険制度・診療報酬制度のあり方も踏まえて慎重に審議すべきではないでしょうか。
 保団連は、保険診療を預かる医師・歯科医師の団体として、患者・国民に対してより良い「療養の給付」の提供が出来るように求めております。そのためには、この「遠隔診療」をめぐる問題についても@非対面診療で患者の安全は担保されるのか、A「遠隔診療」が本当に必要な患者や保険診療として設定されるべき要件は何か、Bその上で、どのような診療報酬上の整理が必要か―という論点で、中医協において医学的エビデンスに基づく慎重な議論が行われるべきだと考えます。
 次回2018年診療報酬改定で、都市部での慢性疾患管理を中心とした「遠隔診療」に関する保険点数の拙速な導入は行わないよう、保団連は、下記の通り強く要望します。

一.

都市部での慢性疾患管理を中心とした「遠隔診療」に係る保険点数の拙速な導入は中止し、中医協において、医学的エビデンスに基づく診療報酬上の整理・検討を十分に行うこと。

以上