※全国保険医団体連合会は、以下の要望書を加藤厚労大臣ほか、マスコミ各社に送付しました(PDF版はこちら[PDF:157KB])。
【要請書】難病医療費助成制度(小児慢性特定疾患を含む)の
診断書料の公費助成創設と制度改善を求めます
2017年9月11日
全国保険医団体連合会理事会
会長 住江 憲勇
前略 国民医療の確保に対するご尽力に敬意を表します。
さて、2014年5月に「難病の患者に対する医療等に関する法律」が成立し、2015年1月から新たな難病医療費助成制度が施行され、これによって難病医療費助成の対象となる疾病が大幅に拡大され、レセプト単位だった月額自己負担上限が患者単位になる等の改善が行われました。
しかし、その一方で、@自己負担限度額引き上げ、A自己負担のなかった市町村民税非課税者や重症患者への自己負担適用、B入院時食費の給付除外、C自己負担のなかった調剤報酬や訪問看護費の自己負担適用、D新たな重症度分類に該当しない場合に認定されない(いわゆる「軽度者」の対象除外)など制度の大幅な後退も実施しました(既認定者は、2017年12月31日までに限り、自己負担限度額の緩和、入院時食費の1/2給付、新たな重症度分類に該当しなくても有効期限内は認定の効力を有するなどの経過措置がある)。
この結果、厚労省は対象疾病の増加によって医療費助成を受ける患者数が78万人(2011年度)から150万人(2015年度)に倍増すると試算していましたが、2015年度末の患者数は94万人であり、医療費助成の総事業費は1,820億円の試算に対して1,385億円でした。
この背景には、@申請手続きに必要な診断書料が従来から全額自己負担であることや、制度の後退によって難病対象であっても申請を行わないこと、A認定基準が厳しくなったこと等があります。
全国保険医団体連合会は、地域医療を担う保険医・歯科保険医の団体として、難病の方が費用の心配なく医療を受けられるよう、下記事項の実現を求めるものです。
記
一. |
難病医療費助成(小児慢性特定疾患を含む)にあたって必要な臨床調査個人票、診断書の料金を補填する制度を創設し、新規認定及び更新認定時に公費助成を行うこと。 |
一. |
既認定者に対する経過措置(自己負担限度額緩和、入院時食費の1/2給付、新重症度分類に該当しなくても認定の効力を有する)を、2018年1月1日以降も延長すること。 |
一. |
下記事項について2014年12月以前の取扱いに戻すこと。
@ |
市町村民税非課税者、重症患者の自己負担をなくすこと。 |
A |
調剤薬局の薬代や訪問看護費の自己負担をなくすこと。 |
B |
入院時食費の給付外しをやめ、自己負担限度額に含めること。 |
C |
いわゆる「軽度者」の対象除外を行わないよう、56疾患の認定基準を2014年12月以前より厳しくしないこと。 |
|
一. |
月額自己負担上限は患者単位とし限度額を2014年12月までの基準に引き下げること。 |
一. |
患者数を理由にした対象疾患外しを行わないこと。 |
以上