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【要望趣旨】「薬価制度の抜本改革」等に向けた要望書
〜公正で透明な薬価制度構築のために〜

2017年10月3日
全国保険医団体連合会

 

  全国保険医団体連合会では、このほど「『薬価制度の抜本改革』等に向けた要望書〜公正で透明な薬価制度構築のために〜」を取りまとめ、9月13日、厚生労働大臣宛てに提出いたしました。以下は要望書の要望趣旨です。要望書本体はこちらからダウンロード下さい。[PDF:660KB]

1 2018年度改定に向けて、喫緊に対応すべき課題

2016年9月、本会は、日本のオプジーボ薬価が英国の5倍、米国2.5倍に及ぶ超高薬価が算定されている現状について発表しました。本会発表を契機に、11月、オプジーボ薬価が緊急に引下げられるとともに、12月には次期薬価制度改革に向けて、「薬価制度の抜本改革」等に向けた政府の基本方針が確認されました。中医協を中心に審議が進められ、本年12月にも「骨子取りまとめ」が予定されています。
 

今回、中医協の審議などを踏まえて、本会として、2018年度の薬価制度改革に向けて、喫緊にも対応が図られるべき事項を中心に要望を行うものです。医療保険財政の改善や地域医療再生が焦眉の課題となる中、学術的論拠や運用の不明瞭な方法により必要以上の医療費が費やされ、患者に不利益がもたらされることのないよう、公正で透明な薬価制度構築に向けて、関係審議会、厚労省にて本要望が検討されるよう求めます。
 

 

2 新薬の高薬価構造の是正が急務

2年毎の薬価改定や後発品使用誘導策にも関わらず、わが国の医療費総額に占める薬剤費の 割合は、2001年以降一貫して3割前後と国際的に突出した水準にあります。特に、金額シェアの6割弱を新薬が占め、新薬の薬価が薬剤費を膨張させています。9月13日発表の国民医療費(2015年度)の概況でも、新規のC型肝炎治療薬の使用急増を背景とした薬剤料増加が医療費を押し上げたなどと報道されています。新薬を中心とした高薬価構造の是正が急務です。
 

 

3 ブラックボックスな算定過程の透明化を

新薬の薬価算定プロセスでは、製薬企業からの薬価収載希望を受けて、厚労省の「薬価算定組織」と製薬企業によって薬価算定案が作成される一連の過程が非公開とされています。また、補正加算の実態として、例えば有用性、画期性、革新性等の言葉を冠した「価値評価」の根拠があいまいなまま、様々な補正加算等が種々折り込まれているため、厚労省担当部局や製薬企業の裁量的判断が介在する余地が大きくなっています。
 

閣議でさえ議事録を公開している中、薬価算定案を作成する「薬価算定組織」では議事録すら作成されていません。こうした実態は、事後的に算定薬価の妥当性を検証することも困難にしています。ブラックボックスな算定過程が、先進国でも際立って高い薬価算定の大きな要因となっています。厚労省担当部局の裁量的判断を排し、算定経過を公開するとともに、薬価算定組織等で議論された内容・資料は原則、開示・公表することを強く求めます。
 

 

2 類似薬効比較方式について

原価計算方式では、原材料・研究開発費を含む製造総原価の価格内訳が公開されず、その算 定根拠も不明瞭です。現に、販売予測と販売実績の乖離が大きくなるケースが散見され、厚労省において原価の把握が適正になされているとは言い難い状況です。また、製薬業界の異常に高い営業利益率(14.7%【2017年度の係数値】)がベンチマークとして算定され、更に最大100%(14.7%×2倍)の営業利益への加算が認められています。製品総原価の内訳の公表、営業利益率の設定水準の引き下げを強く求めます。
 

新薬創出加算を通じて、後発品が販売されるまでの間、当初の算定薬価が維持されます。研究開発税制による法人税軽減なども重なり、幾重にも高薬価が保障される結果、大手製薬企業に多大な内部留保がもたらされています。新薬創出加算は即時廃止するよう強く求めます。
 

5 効能追加時点で全て再算定を。外国調整は参照価格の補正が必要

市場拡大再算定をめぐっては、“希少疾患から参入し、適応の大きい疾患に拡大する手法が、企業戦略”などの製薬業界の発言も見受けられます(中医協薬価専門部会、2016年9月14日)。
効能追加をした時点で、市場拡大の規模に関わらず、全て再算定の対象にすることが必要です。


外国平均価格調整では、参照価格において、英独仏は薬局マージン等を含んでおり、米国は製 薬企業の希望小売価格(AWP)となっています。日本の薬価と適切に比較する上で、薬局マージンを差し引いた金額、米国では公的セクター間の実勢価格を使うなどの補正が必要です。
 

6 中間年改定は実施不要。費用対効果評価の制度化は延期を

全品薬価調査を行った上、値下がりが大きい品目を改定する中間年改定については、後発品・ 長期収載品が主に対象になり財政効果は限られることが予想される一方、医療機関には調査負担が強いられる事態が危惧されます。中間年改定は“労を多く、実り少ない”ことから実施しない、仮に実施する場合は医療現場の負担増とならないよう強く求めます。


費用対効果評価が、2016年度より試行的に導入され、医薬品7品目について再分析が進められています(2018年度改定で再算定を実施)。基本方針を受けて、2018年度より制度化する方針に前倒しされた結果、支払い意思額調査の取り扱いなどをめぐり紛糾しています。その他検討すべき課題も多く、2018年4月からの制度化は拙速と言わざるをえません。制度化は延期すべきです。

費用対効果評価は、あくまで新薬の高薬価是正に向けた制度の一つとして位置付けるとともに、運用過程の透明化を徹底した上で、評価対象は高額薬剤に限定し、価格調整のみの使用にとどめることを求めます。

以上