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※全国保険医団体連合会は、2017年12月17日に地域医療活動交流集会を開催し、下記の決議を採択いたしました。決議は総理、厚生労働大臣ほか、マスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:158KB])。

2017年度地域医療活動交流集会決議

必要な医療・介護が提供できるよう、
診療報酬・介護報酬の大幅引き上げ等を求める

 

 2018年診療報酬・介護報酬改定をめぐる論議が大詰めを迎えている。
 診療報酬は2002〜2008年にかけて4回連続でマイナス改定が実施された結果、医療従事者不足や患者負担率の引き上げとも相俟って「医療崩壊」といわれる事態が引き起こされた。その後もこの事態を立て直す抜本的なプラス改定がなされないまま、2014年には実質マイナス改定、2016年には再びマイナス改定が行われた。
 2017年11月8日に示された医療経済実態調査では、2016年度の一般病院の損益率はマイナス4.2%で「過去3番目に大きな赤字幅」となり、厳しい実態が明らかとなった。また、一般診療所及び歯科診療所(個人を含む)の損益率は、調査のたびに悪化。2016年度の損益差額は、前回 14年度と比較して、医科無床診療所で▲651.1万円(▲3.3%)、歯科診療所で▲218.6万円(▲18.9%) の悪化となっている。
 また、10月26日に示された介護事業経営実態調査結果では、2016年度の全体の平均収支差率は3.3%で、前回調査 (13年度:7.8%) から大幅に低下している。
 診療報酬や介護報酬は、医療機関等の経営の原資であるとともに、患者さん・利用者が受ける医療や介護の内容や質・量を規定するものである。安心の医療・介護提供体制を保持するために、診療報酬について、技術料を中心に医科・歯科とも10%以上引き上げること、介護報酬を大幅に引き上げることが必要である。
 一方、地域医療構想は、患者負担増等による受診抑制を改善せず、在宅療養が確保できる制度実現の目処も立たないまま、患者を入院から在宅・施設へ追い出すものとなっている。

 2016年の大企業の内部留保は400兆円を超している。賃金や雇用体系を改善し、諸外国と比べて低い社会保障に対する事業主負担を引き上げるなど、大企業の内部留保を社会に還元させ、高薬価を是正すれば、診療報酬・介護報酬を大幅に引き上げ、雇用と生活、社会保障を守ることが可能である。
こうしたことから、私たち医師・歯科医師は、次の事項の実現を強く求めるものである。

一.

診療報酬を、技術料を中心に、医科・歯科とも 10%以上引き上げること。

一.

介護報酬を大幅に引き上げること。

一.

地域の状況を勘案しない病床再編・削減をやめること。

一.

患者・利用者負担の更なる拡大をやめ、負担を軽減すること。

以上、決議する。

2017年12月17日
全国保険医団体連合会 地域医療活動交流集会