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※全国保険医団体連合会は、下記の要請書を総理大臣、厚生労働大臣、財務大臣ほか、マスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:149KB])。

【談話】必要な介護が提供できるよう
介護報酬の大幅引き上げを改めて求める


2017年12月20日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 2018年4月に実施される介護報酬の改定率について、12月18日に加藤勝信厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣は0.54%の引き上げで合意したと報道されている。
 しかし、そもそも介護報酬は介護保険制度発足当初から低く抑えられ、さらに2003年4月には2.3%のマイナス改定、2005年10月と2006年4月にはあわせて2.4%のマイナス改定が行われた。介護崩壊がマスコミでも大きく取り上げられる中で、2009年4月には3.0%のプラス改定が実施されたが、2012年4月には「介護報酬の2.0%に相当する介護職員処遇改善交付金を介護報酬内化した上で、介護報酬を1.2%引き上げる」実質0.8%のマイナス改定が実施され、2015年4月には2.27%のマイナス改定が行われた。なお、2017年4月には処遇改善を目的に1.14%のプラス改定が行われたものの、現在の介護報酬の水準は、制度発足当時よりも低下しているのである。
 こうした中で8月4日に公益財団法人「介護労働安定センター」が発表した平成28年度「介護労働実態調査」によれば、介護サービスに従事者が不足しているとの回答は前年より1.3ポイント多い62.6%にのぼり、介護サービスを運営する上での問題点として「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」が 50.9%となっている。
 介護報酬は、社会保障として国民が受ける介護の質と量を規定するものである。医学・医療の新たな知見や介護技術の進歩を介護報酬にしっかりと反映させ、介護担当者の労働条件を改善するためには、0.54%の引き上げでは全く不十分である。
 報道によれば、厚生労働省は、「質の高いサービス」や「自立支援・重度化防止に資するサービス」を評価するためにプラス1%相当の財源を充てる一方で、マイナス0.5%相当の「給付適正化」(通所介護の、事業所規模やサービス提供時間に応じた基本報酬の細分化など)を行うと説明している。
しかし、必要なことは介護報酬の底上げである。国の責務は、要支援・要介護状態となってもすべての国民が健康で文化的な生活を営むことができる環境を整備することである。要支援者・要介護者が必要な介護を受けることができるよう、基本報酬を中心に介護報酬を大幅に引き上げるよう強く求めるものである。
 なお、介護保険制度についても、度重なる制度改定によりサービス範囲が大幅に縮小され、介護サービスの市場化・営利化が進み、介護保険料が引き上がる一方、真にサービスを必要とする人が必要最低限の介護保険サービスさえ受けられない状況が広がっている。介護保険に対する国と自治体の責任と負担を強化することを併せて要望する。
 また、障害福祉サービス等報酬改定については、食事提供体制加算を継続するとともに0.47%の引き上げで合意されたと報道されているが、これでは全く不十分である。障害福祉サービス等報酬についても大幅な引き上げを求めるとともに、障害者がその能力を発揮できるよう、65歳以上になっても介護保険に優先して障害福祉サービスを利用できるよう求めるものである。

以上