※全国保険医団体連合会は、下記の声明を安倍総理大臣、河野外務大臣、マスコミに送付しました(PDF版はこちら[PDF:125KB])。
【抗議声明】米トランプ政権・核使用政策(NPR)に対する
河野外相談話に強く抗議する
2018年2月13日
全国保険医団体連合会
非核平和部長 永瀬 勉
トランプ政権が2月2日に発表した「核態勢見直し」(NPR: Nuclear Posture Review)では、中国、ロシア、北朝鮮への対抗姿勢を名目に、新たな小型核兵器を開発すること、通常兵器への報復として核兵器の使用も排除しないことを明記した。これらは、「核なき世界」を掲げ核兵器の役割縮小を目指したオバマ前政権の施策を180度転換するものであり、核兵器廃絶を求める国際社会への挑戦である。戦争被爆国の医師・歯科医師の団体として強く非難する。
トランプ大統領がNPRを発表した直後の2月3日、河野太郎外相は、大臣談話を発表し、「米国の核抑止力の実効性を確保したもの」とNPRを高く評価し、「核廃絶を主導すべき我が国としては,現実の安全保障上の脅威に適切に対処していく」と述べた。これらは「核兵器の使用も排除しない」とのトランプ氏の発言を容認・支持したものと言わざるをえず、核兵器使用に伴う人類の壊滅的な被害、被爆の実相を国際社会に訴えてきた被爆国政府の外相の姿勢に強く抗議し談話の撤回を求める。
そもそも、核兵器使用をちらつかせて相手国を脅す「核抑止力」の「実効力を確保する」ことは、関係国での対立や緊張を高め、軍拡競争さらには核軍拡競争へ発展しかねず、核兵器の偶発的使用の危険性も増すことになる。トランプ大統領が示した重要な核兵器使用政策の転換に際し、被爆国の政府の立場を堅持し、米国に政策変更を強く迫るべきである。ましてや河野外相は議員時代の2005年、2014年、「小型核の使用は絶対に認められない」「米国に強いメッセージを出すべき」と述べ、時の首相や外相を批判してきた。河野外相談話は、これらと立場が大きく異なるものであり、河野氏自信の過去の発言との整合性や正当性を国会で釈明する政治家としての道義的責任がある。
私たちは、唯一の戦争被爆国の医師・歯科医師として、核兵器が一度でも使用されると人類社会に壊滅的な被害を招くことを明らかにし、核兵器の非人道性を国際社会に訴えてきた。こうした中、国連での核兵器禁止条約に122カ国が賛成し成立、ICANもノーベル平和賞を受賞するなど国際的な核兵器禁止の気運が広がっている。被爆国政府として、トランプ大統領の核使用政策の変更(NPR)に対し毅然と意見を述べ「核なき世界」に向けて方針変更を迫ることを強く求める。
以上