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※全国保険医団体連合会は、下記の要望書を厚生労働大臣、保険局長、保険局医療課長及びマスコミに送付しました(PDF版はこちら[PDF:844KB])。

【要望】2018年度診療報酬改定における
薬剤耐性(AMR)対策に係る緊急要望


2018年2月27日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 厚生労働省は昨年6月に薬剤耐性(AMR)対策として「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」(以下、手引き)を作成しました。急性気道感染症については、感冒のみならず、急性咽頭炎(扁桃炎を含む)、急性気管支炎についても、特別な場合を除き「抗菌薬不要」とされています。
 今次診療報酬改定では「『手引き』に則した療養上必要な説明及び治療を行っていること」との算定要件を設ける方針が示され、小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料に小児抗菌薬適正使用支援加算を新設する、また地域包括診療加算若しくは認知症地域包括診療加算、地域包括診療料若しくは認知症地域包括診療料、薬剤服用歴管理指導料又は小児科外来診療料若しくは小児かかりつけ診療料の算定要件に追加するとしています(2月7日中央社会保険医療協議会資料より)。
 我が国においてAMR対策が急務であることは論を待ちません。しかし、「手引き」はまだ第一版で、医療現場での周知もされておらず、また診療実績も少なく、数々の不備の指摘や疑問の声が出されています。
 全国保険医団体連合会及び長崎県保険医協会が緊急に行ったアンケートにおいても、52%が「手引き」は「妥当でない部分がある・妥当とは思わない」、57%が「抗菌薬を使用しなかった結果、疾病が重症化する危険性がある」、64%が「手引き」を「診療報酬の算定要件とすることには反対」と回答しています。
 このまま「手引き」を診療報酬の算定要件とすれば、抗菌薬が必要な患者にもAMR対策として抗菌薬が投与されないために疾病が重症化し、最悪の場合、手遅れとなって死に至ることが想定されます。
 薬剤耐性(AMR)対策を適正に普及させるためにも、報酬算定制度に組み込むことは適切とは言えません。患者の生命と安全の確保を第一に考え、臨床現場の医師の裁量と納得により進めるべきです。よって、下の通り要請いたします。

以上