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※全国保険医団体連合会は、下記の声明を発表し、関係省庁、国会議員、マスコミ各社に送付いたしました。(PDF版はこちら[PDF:109KB])。

【会長声明】「働き方改革」一括法案の撤回・廃案を求める


2018年6月15日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 「働き方改革」一括法案が5月31日、衆議院本会議を可決し、現在、参議院で審議が行われている。政府は最重要法案と位置づけ、国会会期の延長も視野に今国会での可決・成立を狙っている。

 一括法案では、残業規制の上限が「月100時間未満」「2〜6カ月平均で月80時間」までとされ、過労死ラインまでの残業を容認・合法化するものとなっている。過労死や過労自殺の根絶こそが目指されるべき改革であるにもかかわらず、これに逆行するものである。
 高度プロフェッショナル労働制度は、労働時間規制が適用されず、成果があがるまで際限のない長時間労働をさせることも認められることになり、過労死や過労自殺が自己責任とされかねない。
 政府は「残業時間の規制」「成果に応じた賃金」などを強調するものの、その内容は歯止めのない長時間労働をまん延させる「過労死促進・合法化法案」であり、働く人たちのための「働き方改革」とは程遠い、「働かせ方改革」法案といわざるを得ない。
 働く人々の健康で文化的な生活のためには、長時間労働を是正し、十分な休息を確保することこそがまず必要である。労働時間の短縮、賃金や休息の保障など、世界的な労働法制の歴史と趨勢に逆行する制度の導入に強く反対する。

 加えて問題は、一括法案の根拠となる基礎データや、労働実態の把握が極めてずさんであることである。
 そもそもの出発点から、当初法案に盛り込まれる予定であった裁量労働制に関するデータがねつ造されていたことが明らかとなり、政府はデータを撤回、裁量労働制については法案から削除された。
 その後も国会審議を通じて、労働者の労働時間に関するデータ集計に矛盾や不合理が発覚し、「36協定が定める労働時間と比べて、実際の労働時間は長くない」、「高度プロフェッショナル労働のニーズがある」などという政府の説明の根拠はゆらぐに至っている。
 政府が最重要と位置づけながら、このような不備、欠陥が明らかになっている以上、本法案はまともな審議に値するものといはいえない。

 私たちは、国民皆保険制度の下、保険診療に従事し、働く人々、地域住民のいのち、健康を守ることを使命とする医師、歯科医師として、今回の「働き方改革」一括法案は廃案とすることを求める。

以上