ホームニュースリリース・保団連の活動私たちの提言・意見

※全国保険医団体連合会では、下記の要請書を発表し、原子力規制委員会委員長 更田 豊志氏とマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:248KB])。

【要請書】モニタリングポスト(リアルタイム線量測定システム)の
継続配置を求める要請書


2018年8月1日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本 哲夫

 

 貴職の日頃の原子力行政のご尽力に敬意を表します。
 さて、2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、福島県内の学校や保育園などを中心に設置されたモニタリングポスト(リアルタイム線量測定システム)について、原子力規制委員会(以下、規制委員会)は、3月20日の定例会合で2020年までに約3,000台のうち、約2,400台を撤去する方針としました。
 その理由として、規制委員会は、監視措置の運営費が2020年度で廃止予定の東日本大震災復興特別会計に計上されているためとしています。また、監視措置の基本的な考え方としては「線量が低く安定している地点では測定する必要がない。」などということでした。
 その方針に対して、地元の福島民報社と福島テレビが共同で行った県民世論調査では、県民の45,9%が撤去方針に反対と答えています。
 また、6月20日、同県西郷村議会では「多くの除染土壌廃棄物が仮置きされている現状からも測定持続が必要」との意見書を全会一致で可決しています。
 さらに、福島県内の市民団体が相次いで、モニタリングポストの継続配置を求める要請書を提出しています。
 7月18日、木幡福島市長も、「市内の除染の廃棄物が仮置き場にあるものも含め除染廃棄物があるうちは撤去に反対する考えを示した上で、仮置き場からの搬出後も一定数を残すべき」「(残す数は)今のところ『相当数』としか言えないが、地域の意見をきいていきたい」と話していると報じられています。
 上記のような事情を鑑みて、モニタリングポストの撤去の決定を取り消し、配置を継続していただきますよう、以下の通り要請いたします。

1.

規制委員会は監視措置の運営費が2020年度で廃止予定の東日本大震災復興特別会計に計上されているためとしていますが、原発事故は収束がまだ目処がつかず、継続中であります。2020年度以降も監視措置の運営費を独自に確保して、モニタリングポストを継続して下さい。

2.

東京電力福島第一原発事故によってもたらされている不安の要因は、空間線量の高低だけではありません。今後、モニタリングポストの設置について、それが不要であるかどうかを判断する「決定の権利」は福島県民に持たせて下さい。

3.

空間線量を可視化により安全を確認できるモニタリングポストは、住民の最低限の「知る権利」を保障するものです。その配置を継続し、撤去については廃炉作業が全て終了してから行って下さい。

4.

住民説明会はモニタリングポスト撤去を前提として開催することなく、また開催したことを撤去の理解を得られたとする既成事実にしないで下さい。住民説明会は、住民の「知る権利」、「決定の権利」を尊重する場とし、住民の意思を聴くことを目的として下さい。開催する場合は、情報収集が困難な住民をないように、すべての住民に周知して下さい。

以上