ホームニュースリリース・保団連の活動私たちの提言・意見

※全国保険医団体連合会では、理事会として下記の声明をマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:222KB])。

【声明】東京医科大入試の女性減点調整に関する声明
一律減点の女性差別に抗議し、医師数増など根本解決を求める


2018年8月5日
全国保険医団体連合会
2018〜19年度 第4回理事会

 

 東京医科大学の入試で、女性受験者の点数が一律に減点されていたことが報道で明らかになった。
 これは、医師を志す女性を性別により不当に差別しその努力を踏みにじるものである。個人の能力や適性ではなく、女性だからという理由で人生の重要な選択肢が狭められることは絶対に許されない。また、優秀な医師になり得る人材からその機会を奪うことは、社会的損失ともいえる。

 報道によると、同大関係者は「女性が結婚や出産を機に離職することを懸念した措置」「大学病院関連の医師を確保するため、暗黙の了解だった」と語ったという。
 人口1,000人当たりの医師数はOECD平均3.2人に対し、日本は2.4人と約10万人少ない水準にある。女性医師が出産や育児で離職する現実があるならば、出産・育児と医師としての仕事を両立できる環境の整備や、女性に家事や育児の負担が偏っている現状の改善こそが必要なのであり、女性医師の数を抑えて対処しようとするのは筋違いである。女性医師が出産・育児で離職せざるをえない原因は、長時間労働など医師全般の過酷な働き方にあり、これを解決するには、医師数そのものを増やすことが必要である。

 厚労省は、医師が過労死ラインで働くことを前提に「2028年ごろには医師不足が解消する」として医学部定員を増やさず、「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」として医師が出産・育児、介護などで離職しないよう対策を求めている。しかし、医師数増や診療報酬拡充をせずに、過酷な労働状態にある現状の改善を医療現場のみに求めるやり方は限界に達しており、全国で今回のような事態が起きることは容易に想像できるものである。

 OECD諸国では女性医師の割合は増え続けているが、日本は最下位の20.4%で平均の39.3%を遥かに下回り(2015年)、医学部入学者に占める女性割合は1998年ごろから3割程度で推移している。

 私たちは、いかなる理由があろうとも、性差別が行われることに厳重に抗議するとともに、政府が他の大学医学部・医科大学の実態を含め徹底した調査を行うことを要求する。さらに、医師数増など根本的な解決策をもって、男女とも医師として人間らしく働き続けられる環境整備を進めることを求める。

以上