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※全国保険医団体連合会では、9月15日〜16日に「第36回病院・有床診セミナー」を開催し、下記の決議を採択しました。決議文は総理大臣、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:184KB])。

【第36回病院・有床診療所セミナー決議】
社会保障改悪に反対し、 必要な入院医療が提供できるよう求める

 

 

 政府は、患者・国民には大幅な負担増、医療機関には診療報酬引き下げを強いるとともに、医療や社会保障を民間営利企業の儲けの対象にする社会保障の連続改悪を進めている。
 2018年診療報酬改定では、総枠で1.19%のマイナス改定を実施し、急性期病床と療養病床の削減に向けた要件強化を行った。
 また、「地域医療構想調整会議」では、具体的な病院名を上げて病床削減・転換を進めている。そもそも地域医療構想は、患者負担増等による受診抑制を改善せず、在宅療養が確保できる制度実現の目処も立たないまま、患者を入院から在宅・施設へ追い出すものである。また回復期病床への転換に必要な人的、経済的担保は不十分である。
 介護療養病床と20対1未満の医療療養病床は6年間延長されたが、そもそもこれらは地域に必要な病床であって、高齢化の進展の中でその存続意義はますます高まっている。
 有床診療所については、介護連携加算の新設等若干の改善が行われたものの、入院料そのものは低く据え置かれたままである。有床診療所が地域に果たす役割を正当に評価し、基本報酬を引き上げるべきである。
 政府は社会保障費の自然増を高齢化に伴う6,000億円に抑制し、さらに5,000億円に引き下げることを検討している。しかし、長年にわたる社会保障費削減政策の下で実施されてきた患者負担増と診療報酬の引き下げの結果、医療崩壊は更に進んでいる。患者が必要な医療を受けられるためには、社会保障予算を増やすべきである。
 平成22年版厚生労働白書では、社会保障分野の「総波及効果」は公共事業よりも高く、主要産業より「雇用誘発効果」が高いことが示されている。社会保障への支出は、社会保障を受ける人を支えるだけでなく、雇用を確保し日本経済を押し上げる効果を有する。社会保障拡充は、まさに政府が目指す景気浮揚に寄与するものである。
 2017年度の大企業(資本金10億円以上)の内部留保は425兆円を超える。内部留保の増加は、雇用を改悪し、法人税減税によって得たものである。賃金や雇用体系を改善し、諸外国と比べて低い社会保障に対する事業主負担を引き上げるなど、大企業の内部留保を社会に還元させ、高薬価を是正すれば、診療報酬・介護報酬を引き上げ、雇用と生活、社会保障を守ることが可能である。
 来年は、統一地方選挙や参議院選挙が実施される。私たちは医療・介護を守るため、患者・利用者負担軽減と診療報酬・介護報酬引き上げ等社会保障拡充を選挙の争点に押し上げるとともに、次の事項の実現を強く求めるものである。

一、

地域状況を勘案しない病床再編・削減をやめること。

一、

患者・利用者負担の更なる拡大をやめ、負担を軽減すること。

一、

2020年診療報酬改定では、病院と有床診療所がその機能を発揮できるよう報酬を引き上げること。

一、

介護療養病床及び25対1医療療養病床の廃止を撤回すること。

以上、決議する。
2018年9月16日
全国保険医団体連合会
第36回病院・有床診療所セミナー