※全国保険医団体連合会では、下記の要望書を厚生労働大臣、厚生労働省健康局長及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:143KB])。
インフルエンザワクチン不足及び風疹拡大に対する緊急対策
及びワクチン供給体制の抜本的改善を求める要望書
2018年10月5日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
地域医療対策部医科部長 中島 幸裕
前略 ワクチン対策に対するご尽力に敬意を表します。
さて、10月2日に国立感染症研究所が発表した「風疹急増に関する緊急情報」によると9月23日までの風疹患者は770人で昨年1年間の8倍を超えています。厚生労働省は、抗体検査で免疫がないとわかった人にワクチン接種を促すとともに、30〜50代の男性の検査費用を来年度から国と自治体で負担する方針と報道されていますが、これでは対応が遅すぎます。厚生労働省が掲げる「2020年までに風疹排除」の目標を実現するために、直ちに十分な対策をとるべきです。
また、9月12日の厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会)では、インフルエンザワクチンについて「13歳以上は原則1回注射、必要量に見合う量のワクチン購入」等、適切に使用すれば不足は生じないと報告されましたが、卸業者から医療機関に「(ワクチンが不足した)去年と同じ数量になる」、「少量しか入らない、残りはめどが立たない」等の連絡が入っており、ワクチン不足が懸念されます。インフルエンザの本格的流行前に有効な手立てをとるべきです。
なお、この数年、ワクチン不足が毎年のように発生しています。脆弱なワクチン供給体制を改善し、安定的なワクチン供給体制を構築することが重要です。
また、流行によって発生するワクチン不足を食い止めるためには、通常期におけるワクチン接種率を高めておくことが重要ですが、ワクチン接種費用に自己負担があることで接種を手控える人も少なくありません。少なくとも、お金のある・なしによってワクチンが打てないという状況をなくすことも流行を食い止めるためには、重要です。
当会は、国民の命と健康を守るため、国の責任で以下の対策を早急に行うよう強く要望致します。
記
一、 |
風疹について、緊急措置として30〜50代の男性に対する抗体検査費用を直ちに今年度より国が全額負担すること。風疹ワクチン及びMRワクチンについて国が全額負担すること。 |
一、 |
インフルエンザワクチンの流通状況を国として調査し、流通に滞りがないよう指導すること。 |
一、 |
繰り返されるワクチン不足の実態・原因を分析・評価し、「脆弱なワクチン供給体制」の抜本的改善に取り組み、国が責任を持ってワクチン供給体制の安定化をはかること。 |
一、 |
必要なワクチンが接種できるよう窓口負担を無料化すること。卸価を適正化すること。 |
一、 |
ワクチンが接種されなかったことによる感染症流行、母子感染等のリスクを周知すること。また、ワクチンに起因すると考えられる健康被害の調査・研究、健康被害補償の拡充を図ること。 |
一、 |
予防接種施策を評価・検討する仕組み(日本版ACIP)を創設すること。 |
以上