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※全国保険医団体連合会では、下記の声明を、立民、国民、共産、自由、社民、社会保障を立て直す国民会議の5野党・1会派の三役(党首、幹事長・書記局長、政策責任者)とマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:192KB])。

【要請書】医療費負担軽減を野党の共通政策とすることを求めます

2019年2月21日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 立憲主義の回復と国民生活向上をめざす貴職のご奮闘に心より敬意を表します。
 1月28日の野党5党・1会派の党首会談では、夏の参議院選挙で32の1人区での候補者1本化と政策協議の実施が合意されました。
 「モリ・カケ」問題の隠ぺいに加えて統計不正、国民の多数が反対している労基法、入管法の強行など安倍政権の暴走に批判が高まっています。それにもかかわらず、各種世論調査では安倍政権の支持率は4割前後を維持しています。野党5党・1会派が共通政策によって安倍政治に代わる政治の姿を具体的に示すならば、国民世論は大きく動きます。
 当会は第一線医療を担当する医師、歯科医師10万7千人の団体です。会員に行ったアンケートでは、「経済的理由による受診中断や検査・投薬などを断られたことがある」という回答が4割を超えました。費用の不安なく受診できてこそ、皆保険制度です。当会としては、原則3割の患者窓口負担を2割に引き下げるなど患者負担の大幅な軽減が必要と考えますが、当面の緊急施策として、以下の事項を野党5党・1会派の共通政策に盛り込むことを求めます。
 貴職のご尽力を、よろしくお願いいたします。

 

一、少子化対策としての子ども、妊産婦の医療費無料化

 少子化による人口減少は、日本社会にとっての重大問題です。安心して子どもを産み、育てるための環境整備は、政治の最優先課題の1つです。

(1) 就学前児童の医療費無料化を国の制度として実施し、順次、対象年齢の拡大を進めること。
地方自治体の子ども医療費助成制度に対する国保補助金のペナルティーを、就学後もなくすこと。
(2) 妊産婦の医療費無料化を国の制度として実施すること

 

一、高額療養費制度の負担上限引き下げ

 フルタイムで働いても年収200万円以下の労働者は、1000万人を超えています。さらに、労働者の4割が非正規雇用です。高齢者も65歳以上の世帯の4割は年収200万円以下です。こうしたもとで受診の機会を保障するためには、低所得者の患者負担軽減が必要です。

(1) 70歳以上の年金収入80万円以下の外来負担上限8,000円(個人ごと)、入院を含めた負担上限15,000円(世帯ごと)を引き下げること。
(2) 69歳以下の住民税非課税者の外来、入院を合わせた負担上限35,400円(世帯ごと)を引き下げること。外来の個人ごとの負担上限を新たに設けること。
(3) 安倍政権下で行われた高額療養費制度の改悪を元に戻すこと。

 

一、難病医療費助成制度、小児慢性特定疾患医療費助成制度の改善

 2015年の難病法施行に伴って、医療費助成の対象が当初の56疾患から現在では331疾患に拡充しました。しかし、軽度の患者ら約15万人が医療費助成の対象から外れました。厚労省研究班の調査では、それらの患者の受診減が起きています。制度から外れたために、治療についての情報が断たれることも危惧されています。

(1) 軽度者を医療費助成制度の対象に戻すこと
(2) 患者数による対象疾患外しをやめること

 

一、75歳以上の2割負担は行わないこと

 すでに75歳以上も一定所得以上は3割負担となっています。高齢者世帯の収入状況からも、一律2割負担は過酷です。高齢になれば、慢性疾患を抱える人は増えます。健康寿命をのばすためにも、早期発見・早期治療は欠かせません。これ以上の高齢者の負担は、行うべきではありません。

以上