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※全国保険医団体連合会では、下記の声明を国会議員等及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:482KB])。

【談話】健康保険法等改正法案は、慎重かつ徹底した審議を

2019年4月11日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

 

 今通常国会に提出されている「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」(「改正法案」)は、この12日に厚生労働委員会で採決し、翌週の本会議で衆議院を通過する予定と報じられています。
 「改正法案」は健康保険法、社会保険診療報酬支払基金法など16本もの法律を一括で審議し、改定する内容で、マイナンバーカードによるオンライン資格確認の導入、審査支払機関改革、医療と介護のデータの連結、保険事業と介護予防の一体的実施など7項目から成っています。国民の受ける医療のあり方、医師・歯科医師の診療のあり方、医療現場に大きな影響を及ぼす重要な問題が含まれています。
 しかし、「改正法案」の衆議院厚生労働委員会での審議は実質3日間で、十分な審議が尽くされているとは到底言えません。この間も、政府は、いくつもの法律の改定を一括で提案し、わずかな審議時間で採決することを繰り返しており、このような法案提出の仕方が問題であることが厚生労働委員会の審議でも指摘されています。
 この「改正法案」は内容上も、慎重かつ徹底した審議が必要です。
 特に、マイナンバーカードによるオンライン資格確認の導入では、医療機関にマイナンバーカードが持ち込まれることにより院内でのカード紛失、番号漏えいが起き得ることは決して杞憂ではありません。そうした事態に医療機関がどう対応するかという懸念も広がっています。そもそも保険証でもオンライン資格確認は可能であり、マイナンバーカードを資格確認に用いる必要はありません。
 また、審査支払機関改革は、審査支払機関を、医療費抑制を主眼としたビッグデータ活用の推進役に変貌させるとともに、患者の個別性が考慮されない機械的審査の拡大、保険者の意向に応じた査定が強められるおそれがあります。そうなれば、医師・歯科医師にとってのみならず、事は患者が受ける医療の質・量にも関係する大きな問題となるはずです。
 私たちは地域医療を担う医師・医師歯科医師として、本「改正法案」について下記の事項を強く求めるものです。

一、

「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」について、慎重かつ徹底した審議を行うこと。

一、

マイナンバーカードによるオンライン資格確認について、撤回すること。

一、

審査支払機関改革法案は、撤回すること。

以上