※全国保険医団体連合会では、4月14日に開催した第8回原発問題学習交流会において、下記のアピール採択し、マスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:315KB])。
【アピール】東京電力福島第一原発事故から8年
―原発ゼロをめざして広範な人々と連帯を
2019年4月14日
全国保険医団体連合会
第8回原発問題学習交流会
東京電力福島第一原発の過酷事故から8年、デブリ(溶融核燃料)の取り出しは困難で見通しさえ立たず、放射性物質トリチウムを含む汚染水は増え続け、保管容量も限界になるためなし崩しで海への排水まで検討されるなど廃炉への道筋は明確に示せないでいる。
今も福島では避難者が県の統計でも3万人をこえ、復興公営住宅入居者や自主避難者などを含めると実際には10万人以上の人たちが避難前の元の土地で生活することができない過酷な状況におかれている。
被災者救済に向け原発事故の補償・賠償を求め、全国30カ所で裁判が行われ、賠償請求とともに避難による生活苦や精神的苦痛、更に人間関係やコミュニティなど包括的生活基盤を失った「ふるさと喪失」の慰謝料の支払いを求める裁判もはじめられている。
東京電力福島第一原発の事故は、全電源喪失を防止する対策を怠った結果であり人災である。私たちは事故原因の究明と国と東電の責任で廃炉、除染、十分な賠償を継続すること、住民の健康管理を徹底することを強くもとめ、各地の裁判と連帯していく。
安倍政権は、福島第一原発事故の収束が見通せない昨年7月「エネルギー基本計画」を改定し、国民の大きな反対の声をうけてもなお原発を「重要なベースロード電源」にするとともに原発輸出を「成長戦略」の柱に位置づけた。しかし、台湾、ベトナム、リトアニア、インドに続きイギリスでは日立製作所が原発事業を凍結し、トルコでは三菱重工が撤退の方向を示している。
こうした安倍政権の原発政策と異なり世界では再生エネルギーへの取り組みが中心として進められている。国際エネルギー機関(IEA)では2010年に比べ2017年度では太陽光発電の設備容量が10倍、風力発電は2.5倍に伸び、コストについても10年前に比べ太陽光発電は70%、風力発電は25%安くなることから「電力供給の主役は石炭から再生エネルギーに変わる」と世界でのエネルギー転換を予測している。
各地で原発ゼロ、原発再稼動反対の取り組みが大きく広がり、昨年すべての原発を速やかに停止・廃止し、省エネルギー、再生エネルギーへの転換を求める野党四党による「原発ゼロ基本法案」が衆議院に提出されたが、与党の妨害で審議がはじめられていない。
このため、今年行われる統一地方選挙、参議院選挙の争点に原発ゼロを押し上げる上でも、運動を更に広げ強めていくことが求められている。
私たちは、第8回原発問題学習交流会において、原発事故による甚大な被害を受けた福島の現実を知り、このため原発再稼動を許さない原発ゼロ社会実現に向けた各地の運動を交流した。
私たちは、各地の運動経験を糧に原発ゼロ、再生エネルギーへの転換の国民世論が反映される政治・社会の実現のため広範な人々と連帯した運動を進めていく。
以上