歯科医療費総枠拡大のために
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保団連歯科代表 宇佐美宏 |
近年、口腔の健康が全身の健康に関係することが広く認知されつつあり、かつてなく歯科の役割が脚光を浴び始めています。
しかし、足元の歯科医療はどうでしょうか。歯科医療機関の経営は厳しい状況です。医療経済実態調査(2017年)でも、歯科診療所(個人)の最頻差額階級の保険診療収入・損益状況をみると、医科(一般診療所・個人・入院なし)に比して約36%と大きな差がつけられています(保険診療収益:医科年額6458万円、歯科年額2350万円、損益差額:医科年額1750万円、歯科年額623万円。いずれも青色申告者を含む)。
一方、患者さんに目を転じれば、経済的な理由で歯科受診が困難な方がいます。国立社会保障・人口問題研究所「生活と支え合いに関する調査」(2017年実施)によれば、「金銭的な理由により必要なときに歯科医にかかれない」と回答した世帯は3%(医科では2.3%)でした。推計すると、全国で約160万世帯が歯科受診を抑制したことになります。すべての人が歯科を受診できるようにするためにも、患者窓口負担割合の引き下げは、どうしても不可欠です。
歯科医療従事者と患者さんの窮状を打開するには、長年にわたり2兆円台に抑制されてきた歯科医療費の総枠を拡大することは喫緊の課題です。
そのために、歯科医療従事者と患者さんが共に手を携えてできる運動が必要です。それは請願署名です。
表にあるように、「保険で(より)良い歯科医療」を求める請願署名は、署名の趣旨に理解する国会議員を増やしてきました。
保団連も参加する「保険で良い歯科医療を」全国連絡会は、6月6日に歯科総決起集会を実施し、350人が国会に集りました。参加者は530人の国会議員室を訪問しました。全国会議員の3分の2以上になります。「同じ要請でも署名の束があるなしでは、議員室の対応が違う」。要請に参加した歯科医師の言葉です。
署名は確実に議員を、そして情勢を動かしています。
11月28日に国会内で「署名提出集会」を開きます。多くの会員の協力のもと、かつてない署名数でこの日を迎えようではありませんか。
以上