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※全国保険医団体連合会では、下記の緊急要請書を、総理大臣、厚生労働大臣、国会議員、社会保障審議会介護保険部会委員及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:203KB])。

【要請書】給付抑制と利用者負担増に反対し、
国民本位の介護保険制度への抜本的再構築を求めます

2019年10月15日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 前略 公的介護保障制度の確保・改善に対するご尽力に敬意を表します。
 さて、2021年度の介護保険制度改定に向けた社会保障審議会・介護保険部会の第2ラウンドの議論が8月29日から始まりました。
 議論にあたって厚生労働省は、@ケアプランへの利用者負担導入、A利用料2〜3割負担の対象拡大、B要介護1・2の生活援助の総合事業への移管、C施設の居住費・食費の利用者負担引き上げ、D現在利用者負担なしの施設入所者の室料有料化、E高額介護サービス費の利用者負担限度額引き上げ、F被保険者の30歳以上への拡大、G介護サービスの現金給付化などを検討課題として示しています。
 2018年度〜2020年度の介護保険料の平均が月額で1人5,869円となるなかで政府は、「制度の持続」を掲げて検討課題を示していますが、検討課題の多くが、給付抑制と利用者負担拡大です。要支援者・要介護者は、いくつもの疾患を抱えており医療費負担も少なくありません。現在でも保険料や利用料負担が大きくのしかかるとともに、給付抑制によって必要な介護が受けられない状況が広がっています。さらなる給付抑制と利用者負担拡大は、「保険あって介護なし」をさらに助長します。ケアプランへの利用者負担導入や利用料負担の引き上げ、給付抑制は絶対に行なうべきではありません。
 高齢者が人間の尊厳にふさわしい生活を送るためには、日本国憲法の理念に立って、@公的年金による十分な所得保障、A行き届いた保健、医療、介護サービス、B安全で快適な居住と地域の環境の確保の3本柱の総合的な施策が不可欠です。
 私たちは、介護を私的な問題とするのではなく、憲法25条に基づく国民の生存権を保障するものとして公的に国が責任をもって解決すべきと考えます。
 介護保険制度を維持する財源がないと言われますが、その原因は国と企業が負担を回避していることにあります。金融業・保険業を除く全産業の内部留保は463兆円にも及びます。高齢化と介護のリスク解消のために、国と企業はその力を発揮すべきです。
 また、社会保障分野への投資は国民の命と生活を守るだけでなく、雇用創出効果、経済波及効果が高く、介護分野では特に顕著です。こうしたことから、介護保険制度の見直しに当たって、下記事項を実現するよう、強く求めます。

一. 介護保険財源に対する国と企業負担をさらに増やし、保険料及び利用者負担割合を引き下げること。また、検討課題となっている8項目について、下記の対応を図ること。
@ ケアプランへの自己負担導入や、介護サービスの各種自己負担拡大を行わないこと。
A 要介護1・2の生活援助サービスの総合事業への移管を行わないこと。要支援者に対する訪問介護・通所介護を介護保険給付に戻すこと。
B 被保険者の30歳以上への拡大を行わないこと。
一. 介護従事者の労働条件を改善すること。そのためにも介護報酬を引き上げること。
一. 医療系介護サービスは、医療保険給付に戻すこと。
一. 居宅介護支援事業者の管理者要件を主任ケアマネジャーに限定せず、主任ケアマネジャーを配置した場合には報酬加算を行うこと。少なくとも十分な経過措置期間をおくこと。

以上