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※全国保険医団体連合会では、下記の緊急要請書を、総理大臣、厚生労働大臣及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:173KB])。

【要望書】台風19号等による被災者医療と
医療提供体制確保に関する緊急要望書(その4)

2019年10月28日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 台風19号等による甚大な被害への貴職のご尽力に、敬意を表します。
 さて、政府・厚生労働省におかれましては、台風19号による災害救助法が適用された区市町村で全半壊や床上浸水などの甚大な被害を受けた人について、保険者の同意を前提に、10月12日以降の医療費一部負担金と介護保険利用料の免除を行う旨の通知を10月18日に発出いただきました。また10月19日には、台風15号において災害救助法が適用された千葉県及び東京都の市町村についても継続的に救助を必要としていることから、同地域についても台風19号においても災害救助法が適用され、この結果、同地域でも保険者の同意があれば医療費一部負担金と介護保険利用料の免除が実施できるようになりました。
 しかし、協会けんぽと後期高齢者広域連合については災害救助法が指定された自治体では免除が実施されていますが、国民健康保険と介護保険については、災害救助法が適用されていても対象となっていない自治体があり、その後21日、23日、24日、25日には対象自治体の追加がありましたが、災害救助法が指定されていても免除・猶予を実施していない自治体があります。また、実施を表明されていない健康保険組合等もあります。
 さらに、災害救助法は、区市町村内における被害が一定数を超えなければ適用にならないことから、著しい被害を受けていながら免除の対象にならない場合もあります。
 これでは、同様の被害を受けながら、住んでいる自治体によって免除されない方が発生します。また、医療機関や介護保険事業所の窓口も大変混乱をしています。
 被災者の医療・介護の確保は、災害からの復旧・復興にとって不可欠です。同じような被害を受けていながら、自治体や保険者によって医療費免除等に差があってはなりません。
 また、10月25日には台風21号によって生命及び財産に重大な被害が発生していますが、被害は台風19号によって大きな影響を受けている地域で発生したものです。
 なお、被災者への医療を提供するためには、被災医療機関の早急な復旧・復興も欠かせません。こうしたことから当会は、医師、歯科医師 10万7千人の団体として、次の事項の早急な実現を求めるものです。

1. 医療費一部負担金と介護保険の利用料の免除について
(1) 少なくとも災害救助法が適用されたすべての自治体において、国保、介護については、被災者の医療費一部負担金及び介護保険利用料の免除を実施させること。
(2) 台風21号による被災者についても、被災者の医療費一部負担金及び介護保険利用料の免除を実施すること。
(3) 協会けんぽ、健保組合、国保組合、共済組合等が実施する被災者の医療費一部負担金免除などの費用を国が負担し、免除を実施しない健保組合がないようにすること。
(4) 一部負担金免除の対象に入院時の食事一部負担金を加えること。また、当面2020年1月末とされている免除期間について、早急に延長を図ること。
(5) 災害救助法の指定のいかんにかかわらず、台風19号等により著しい被害を受けた方について(厚生労働省が示した@〜Dに該当する)は、被災者の医療費一部負担金及び介護保険利用料の免除を実施すること。
(6) 一部損壊についても災害救助法の対象とするよう、10月23日に告示を改正したことを踏まえ、免除・猶予対象に、一部損壊を加えること。
(7) 医療費及び介護保険利用料の免除について、地域住民及び医療機関・介護事業所に行政が責任をもって周知・徹底を図ること。
2. 保険請求に関し、下記の対策を行うこと。
(1) 被災医療機関等における診療報酬請求書の提出期限の延長、紙媒体での請求や概算請求等を認めるとともに、支払いを滞りなく行うこと。また、介護保険事業所における介護報酬についても同様の対応とすること。
(2) 2019年11月20日までに届出が必要とされているデータ提出加算の経過措置について、被災医療機関においてはさらに柔軟な対応を行うこと。
(3) 患者への継続的な医療提供を確保するために、診療録等の文書が滅失した医療機関から申し出があれば、国保連合会及び支払基金にある過去の請求レセプトを申し出医療機関に提供すること。
3. 被災医療機関の復旧・再建のため、下記の対策を行うこと。また、医療施設等災害復旧費補助金や中小企業等グループ補助金、融資制度について医療機関などへの周知に努めること。
(1) 医療施設等災害復旧費補助金等の対象を公的、民間問わず全ての被災医療機関を対象にするとともに、対象経費を拡大し、補助率を引き上げること。また、被災状況を勘案し、申請期間の延長や申請方法の簡素化を図ること。
(2) 被災医療機関及び福祉施設等の復旧・再建のために活用する中小企業等グループ補助金についても、申請期間の延長や申請方法の簡素化を図ること。
(3) 被災医療機関・福祉機関の復旧・復興に対する無利子融資制度を創設すること。
4. 被災地で瓦礫や泥水の撤去等を行う被災者、及び被災地の支援活動に従事するボランティアで、破傷風ワクチンの接種を希望する者については、国がワクチン接種費用を公費で負担すること。
5. 被災者生活再建支援制度について、支援金を500万円に引き上げて全額国が財政負担すること。また対象を一部損壊まで拡大し、個人事業所や農地など生業再建全般に拡大すること。

以上