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※全国保険医団体連合会では、下記の緊急要請書を、総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、中小企業庁長官及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:198KB])。

【要望書】台風19号等による被災者医療と
医療提供体制確保に関する緊急要望書(その5)

台風19号等による被害からの復旧・復興のため、
予備費の迅速な活用と、1日も早く補正予算編成を組み
被災者医療確保と、実効ある医療提供体制の復旧・復興の実施を求めます

2019年10月29日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 

 台風19号等による甚大な被害からの復旧・復興に向けたご尽力に、敬意を表します。
 さて、台風19号等による被害からの復旧・復興のためには、被災者医療確保と医療提供体制の復旧・復興が欠かせません。
 しかし、医療施設等の復旧・復興のための医療施設等災害復旧費補助金制度については、医科・歯科診療所など民間の医療機関に十分に周知されていません。また、申請期間も短く、このままでは補助金の対象でありながら、十分な周知がされないため申請ができない医療機関が発生してしまいます。
 また、安倍総理は、10月24日の衆議院本会議で、災害からの復旧・復興について中小企業庁の「中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(中小企業等「グループ補助金」)」の適用を検討すると発言されましたが、東日本大震災、熊本地震、平成30年7月豪雨では医療施設等の施設・設備の復旧支援にも活用され、地域医療の復旧・復興に大きな役割を担ってきました。今回の台風19号等による被害についても中小企業等「グループ補助金」が医療施設等の施設・設備の復旧支援に活用されるものと推察していますが、「グループ補助金」の活用には補正予算による裏付けが必要です。
 さらに、医療費一部負担金と介護保険の利用料の免除についても、補正予算の中で国による費用負担を位置づけ、全ての被災者に免除が行き届くようにする必要があります。
 こうしたことから全国保険医団体連合会は、医師、歯科医師 10万7千人の団体として、台風19号等による被害からの復旧・復興のため、予備費を迅速に活用するとともに、1日も早く補正予算を組み、被災者医療確保と実効ある医療提供体制の復旧・復興費補助の実施を求め、次の事項の実現を求めるものです。

1. 被災医療機関の復旧・再建のため、下記の対策を行うこと。また、医療施設等災害復旧費補助金や中小企業等グループ補助金、融資制度の医療機関等への周知を徹底すること。
(1) 医療施設等災害復旧費補助金の医療機関への周知を徹底し、十分な申請期間を設けるとともに、申請方法の簡素化を図ること。また、補助金の対象を公的、民間問わず全ての被災医療機関を対象にするとともに、対象経費を拡大し、補助率を引き上げること。
(2) 台風19号等による被害からの復旧・復興に中小企業等「グループ補助金」を適用し、医療機関への周知を徹底し、十分な申請期間を設けるとともに、申請方法の簡素化を図ること。
(3) 被災医療機関・福祉機関の復旧・復興に対する無利子融資制度を創設すること。
2. 医療費一部負担金と介護保険の利用料の免除について
(1) 少なくとも災害救助法が適用されたすべての自治体において、国保、介護については、被災者の医療費一部負担金及び介護保険利用料の免除を実施させること。
(2) 台風21号による被災者についても、被災者の医療費一部負担金及び介護保険利用料の免除を実施すること。
(3) 協会けんぽ、健保組合、国保組合、共済組合等が実施する被災者の医療費一部負担金免除などの費用を国が負担し、免除を実施しない健保組合がないようにすること。
(4) 一部負担金免除の対象に入院時の食事一部負担金を加えること。また、当面2020年1月末とされている免除期間について、早急に延長を図ること。
(5) 災害救助法の指定のいかんにかかわらず、著しい被害を受けた方について(厚生労働省が示した@〜Dに該当する)は、被災者の医療費一部負担金及び介護保険利用料の免除を実施すること。
(6) 一部損壊についても災害救助法の対象とするよう、10月23日に告示を改正したことを踏まえ、免除・猶予対象に、一部損壊を加えること。
(7) 医療費及び介護保険利用料の免除について、地域住民及び医療機関・介護事業所に行政が責任をもって周知・徹底を図ること。
2. 保険請求に関し、下記の対策を行うこと。
(1) 被災医療機関等における診療報酬請求書の提出期限の延長、紙媒体での請求や概算請求等を認めるとともに、支払いを滞りなく行うこと。また、介護保険事業所における介護報酬についても同様の対応とすること。
(2) 2019年11月20日までに届出が必要とされているデータ提出加算の経過措置について、被災医療機関においてはさらに柔軟な対応を行うこと。
(3) 患者への継続的な医療提供を確保するために、診療録等の文書が滅失した医療機関から申し出があれば、国保連合会及び支払基金にある過去の請求レセプトを申し出医療機関に提供すること。
4. 被災地で瓦礫や泥水の撤去等を行う被災者、及び被災地の支援活動に従事するボランティアで、破傷風ワクチンの接種を希望する者については、国がワクチン接種費用を公費で負担すること。
5. 被災者生活再建支援制度について、支援金を500万円に引き上げて全額国が財政負担すること。また対象を一部損壊まで拡大し、個人事業所や農地など生業再建全般に拡大すること。

以上