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※全国保険医団体連合会では、下記の要請書を厚生労働大臣、保険局長、保険局医療課長及びマスコミ各社に送付いたしました(PDF版はこちら[PDF:1,635KB])。

【要請書】要介護被保険者等に係る外来維持期リハビリテーションの
廃止撤回を求めます

2019年12月4日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
医科社保・審査対策部
部長 武田 浩一

 

 2019年3月末で要介護被保険者等の外来維持期リハビリテーションが廃止されました。しかしながらリハビリの現場では、介護保険による維持期リハとしての受け皿として想定されている通所リハ施設においても「PT、OT、ST の確保が困難」、「現状の介護報酬での評価では採算が取れない」との観点から、大多数が事業所の立ち上げを躊躇している実態が報告されており、受け皿の拡大がなされていない現状があります。
 更に、介護保険での維持期リハの利用状況の面でも、特に高齢者においては継続的なリハがADL維持に極めて重要な意味を持つ中で、「介護保険の維持期リハでは、要介護者等に対する給付額が決まっており、リハが必要と医師が判断してもケアプランに位置付けられなければ実施できない」、「ケアマネの介入により優先順位が後回しになるケースが多く、対応に苦慮」との形で関係職種との意思疎通に手間取り、迅速なリハ実施が困難となっている実態も報告されています。
 上述のリハビリの受け皿確保が困難な中で、患者が必要とするリハビリを受けられない、「リハビリ難民」の増加が懸念されていました。
 以上のことから保団連では実態把握のため、9月初旬から11月初旬までの約2カ月間、全国の保険医協会、保険医会を通じて会員医療機関に対するアンケート調査を実施しました。その結果、上記で指摘した受け皿が少ない問題や、通所リハビリの実施内容がADLの維持に見合っていない事例、介護保険の制度そのものの問題によりリハビリを受けられない実態があることが分かってきました。当会がこの間指摘し、懸念を表明してきた「リハビリ難民」が現実のものとなってきているのではないでしょうか。
 9月18日に開催された中医協では、診療側委員から「介護だけの事業者のリハビリになった場合、質がどれぐらい担保されているのか、しっかりとリハビリができているのかどうか追跡調査などで調べる必要があるのでないか」との指摘がなされており、医療課長も非常に重要な指摘だと述べ検討を約束されています。ぜひ実態把握を行っていただきたいことと、併せて当会の調査で明らかになった点も踏まえた抜本的な対応を早急に行うよう要求します。
 以上の現状の改善のため、下記の実現を強く求めます。

一、 要介護者・要支援者の入院外の患者に対する維持期リハビリテーションの廃止を撤回すること。
二、 9月18日の中医協で約束した通り、早急に実態把握し対策を立てること。
三、 当面、介護に移行困難な事例については、維持期リハビリテーションの算定を認めること。

要望書及びアンケート結果[PDF:1,635KB]

以上