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※全国保険医団体連合会では、下記の理事会声明を総理大臣、厚生労働大臣及びマスコミ各社を発表しました(PDF版はこちら[PDF:478KB])。

【理事会声明】消費税増税の上に負担増なのか
75歳以上の窓口負担2割への引き上げ、
受診時定額負担の導入に反対する

2019年12月8日
保団連18〜19年度第24回理事会

 

 政府は、「社会保障」を口実に消費税増税をする一方で、医療や介護の負担増、給付削減を推し進めようとしている。政府の全世代型社会保障検討会議では、年内に取りまとめる中間報告において、75歳以上の高齢者の窓口負担2割化や、受診に際して定率負担(1〜3割)とは別に定額負担を徴収する制度(受診時定額負担)の導入を盛り込むことが検討されている。
 年金の受取額の抑制や低賃金で国民の生活が困窮を極め、消費税増税が追い打ちをかける中で、さらなる医療や介護の負担増・給付削減を行えば、国民の命、健康が脅かされる。本会は、75歳以上の窓口負担2割への引き上げと、受診時定額負担の導入に断固反対する。

 高齢者は、収入の大半を低い公的年金に頼る一方で、複数の病気を抱え、治療も長期間に及ぶ。入院も増え、医療費負担は現役世代などの3〜7倍近くになる(社会保障審議会医療保険部会資料より)。高齢者に窓口負担の2割・3割への引き上げを求めることは、単純に医療費負担が2倍、3倍になるのではなく、実質的な負担は現役世代の何倍にも重くなる。
 高齢者に特有の複数・長期・重度などの病気の特徴があるからこそ、高齢者の自己負担は軽減されてきた。負担割合を引き上げて、現役世代と同じにすれば、高齢者の受診抑制の深刻化は必至である。
また、高齢者の負担増は、親の介護を担う現役世代も直撃する。育児と介護を同時に担うダブルケアなども増えており、家族の共倒れにもなりかねない。

 「受診時定額負担」は、将来にわたり患者への「7割給付を維持する」(患者負担を3割超にしない)とする改正健康保険法附則第2条(2002年)に明らかに抵触する。一旦導入されれば100円から200円、500円と引き上げられていくことも懸念される。既に、先進諸国の中でも高い3割負担によって、今でも受診抑制や治療中断は顕著になっている。定額負担の導入で3割を超える窓口負担となれば皆保険制度への国民的な信頼を根底から揺るがしかねない。

 国民の命と健康を守る医師・歯科医師として、75歳以上の窓口負担2割への引き上げと、受診時定額負担の導入に断固反対する。

以上